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兎赤♀【人肌恋しき、冬のよる。】
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※季節は冬。同棲大学生兎赤♀です。
風邪の時って訳分からん夢見るよねーって言う話。
「さ、さむぃ………」
冬の日の朝。
いつもと違う感覚に、目を覚ます。
隣に木兎さんは居ないから、きっと、走りに行っているのだろう。今日は練習試合だったはずだ……。
それにしても……
「うっ、……あたま、いたいぃ……」
頭が、すごくガンガンする。
久しぶりの感覚で、身体が重い……
「とりあえず、木兎さんを待とう……」
そう思い、私は毛布を深く被り、再び眠りについた。
****
「……いじ、けいじ?」
「……………ぼくと、さん……」
外から帰ってきた木兎さんが、心配そうに覗き込んでくる。
時計を見ると、先程から1時間くらいしか経っていなかった。
「大丈夫か?……風邪かなぁ?」
手渡された体温計を脇に挟み、ベッドの背もたれに身体を預ける。
暫くしてピピピという電子音が聞こえてきた。
体温は、38.6度……そこそこ高いな……
「ん、何度?」
「38……度………」
「本当は?」
「38.6度です…」
誤魔化そうとしたが………だめだった。
「とりあえず、どこか痛いところはあるか?」
「……あたま、いたい……」
「うーん、病院行くか……」
ヨシヨシ、と木兎さんが頭を撫でてくれる。
シャワーを浴びたのか、その手は暖かくて……
「ッ、大丈夫です!……それより、早く練習、行かなくていいんですか?私は、大丈夫だから。」
ちょっとだけ、優先してもらって嬉しかった、なんて言えない……
「…本当に大丈夫か?……薬とか、ちゃんと飲めるか?」
「ん、あ……木兎さんのゼリー、1個だけください、それでお薬飲むんで……」
そう言うやいなや、木兎さんはすごい勢いで、水やらゼリーやらを持ってきてくれる。
そして、額に冷えピタを貼り、いつも私が着ているパーカーを着せてくれた。
「…キツかったら、電話しろよ?今日は夕方には帰ってくるから。」
「ん、行ってらっしゃい……」
****
「んッ、はぁ、……寝てた?」
木兎さんが出ていった後、そのままベッドで眠ってしまったらしい。
広い部屋の中に暖房が効いていて、暖かくなっていた。木兎さんが付けてくれたのだろうか。加湿器もついていて喉の調子もいい。
でも、まだ動くのは辛い。これでは熱が上がっていそうだ。
重だるい体を無理やり起こし、トイレに向かう。
いつもより大分時間がかかり、フラフラになりながら体温を図る。
ピピピ………
「39………やばっ……」
これじゃ治るものも治らない。私は水を飲み、乾いた冷えピタを替えてからベッドに入る。が、目の端に木兎さんが着て寝ていたスウェットがあったので、持ってきて抱きしめながら横になる。
(木兎さんの匂い………落ち着く…………)
赤葦はまた、眠りに落ちていった。
****
「ただいまぁ。」
木兎が、バレーの練習から帰ってきた。
その手には、ポカリやらゼリーの入った袋がぶら下がっており、木兎はそれを置きもせず、愛しい恋人の眠る寝室へと向かう。
(……大丈夫かな……)
部屋に入ると、息苦しそうではあるが、すやすやと眠る赤葦が。それには安心したが……
(んんん!!…オレのスウェット持って寝てる……!可愛い!)
赤葦は木兎のスウェットをぎゅっと握りしめ、顔を近づけ匂いを嗅ぐようにして眠っていた。
この光景に木兎の息子が起き上がりそうになったのは言うまでもない。
(でもまぁ、ちゃんと寝てるからいっか……)
木兎は飲み物をベッドサイドに置き、静かに扉を閉め部屋をあとにする。
(可愛いかったなぁ……)
シャワーを浴びに行き、スッキリとしたところで
(さ、ご飯作ろ。)
珍しくキッチンに立つことになった木兎。でも、彼は実は料理はできる方であった。
「……適当に野菜炒めでいいか……」
めんどくさがり屋という欠点を覗いては……。
料理を作り、皿に乗せてテーブルに置いていく。今日はめんどくさいから野菜炒めとご飯でいいや。と思いつつ、ご飯をつごうと立ち上がると……
「やば、炊いてなかった……」
そこは空っぽで、何も入っていなかった。
しょうがないので、冷凍庫などを漁っていると、冷凍ご飯が見つかったのでそれをチンして一緒に食べる。
(赤葦がいないと……寂しいな……)
いつもはいろんな話を聞いてもらったり、赤葦のする話に耳を傾け、楽しく食事をしていた。だからこそ、1人での食事は寂しい。
食べ終わったあとの食器を片付け、パソコンの前に座った木兎は今日の練習のDVDをつけ、真剣に見入っていた。
****
後ろから、何かが追いかけてくる。
気味の悪い笑い声が耳に張り付く。
暗い路地を走り抜け、大通りに出た。
が、そこには誰もいない。
「ひっ、やめ、」
後ろからソレが追いつく。
ものすごくおぞましい、この世のものとは思えないソレが、私の身体に、絡みついて、………
「ひっ、はっ、ゆめ……?」
目が覚めたら、そこは先程までの場所ではなく、いつもの寝室。
しかし、外は真っ暗で、さっき見ていた夢のせいでとても怖く、自分の知らない場所のようだった。
「こわぃ……ぼくとさ、…いる?…」
泣きながらベッドから転げるように降りて、扉を開け、リビングに出る。
一気に明るくなって、待ちわびた木兎さんは、パソコンの前で何やら真剣に画面を見つめている。こちらには気づいていないようだ。
私は一気に安心したと同時に、木兎さんの邪魔をしないよう、静かにソファに座る。
(安心する………)
赤葦はそのままウトウトしながら身体を丸め、また眠りにつく。
(ぼくとさん、こっち、向いて……ほしいな……)
****
「ふぅ……」
DVDも見終わり、明日の練習に向けて今日は寝るだけだ。
後ろを向いた木兎は、驚いた。
ソファに、赤葦が眠っているではないか。
「…!…いつの間に?」
いつからそこにいたのか、赤葦の身体は暑く火照っているのに、本人はとても寒そうに身体を丸めている。
そして、頬には涙のあとが。
上には何もかけられておらず、木兎は急いで赤葦を抱き上げる。
(怖い夢でも見たのか……?それかしんどかったのかな?)
寝室に移動し、毛布でくるんでやる。
頭を撫で、離れようとするが、赤葦は木兎の洋服を掴んではなさない。
「よしよし、いい子いい子〜」
小さな声であやす。が、赤葦はキツそうに呼吸をし、心無しか先ほどよりも汗をかいているようだった。
「ソファでねてたから……かな?」
汗を拭って、目元の涙のあとに気づく。
目元にキスをして、ベッドに一緒に横になる。
「けいじ、怖くないよー?俺はここに居るからね。」
寝ている赤葦に、優しく言葉をかける。
しんどそうにしていた赤葦の顔が心無しか微笑んだような気がした。
(俺も寝るか……)
申し訳ないが、電気などを消したいので一旦赤葦の手を離させる……のは可哀想だったので、もう一度抱っこをして、リビングの電気などをしっかり消し、もう一度寝室へともどる。
ベッドに横になる。そして、赤葦と俺の上にしっかり毛布を掛けて赤葦をしっかり抱きしめる。
「おやすみ。けいじ。」
頬にキスをして、眠りにつく。
明日は良くなっていることを望んで。
❦ℯꫛᎴ❧
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