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兎赤・クロ月・及影 『さよなら、もう会えないだろう貴方へ。』
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額がひんやりしたところで、私は目を覚ました。
「んっ……」
「あ、起きた?」
トビオが心配そうに顔を覗き込んでくる。
頭に載せられている氷は、トビオが作ったらしく、とても冷たい。
「……ボクト様たちは?」
「今日はお帰りになられたようですよ。舞踏会もなしです!」
「…………そう……」
舞踏会が無くなったのは嬉しかったが、帰ってしまったのは素直に悲しかった。
また来てくれるだろうか…
「そういえば、今何時なの?」
「今は夜の七時頃ですね。もうすぐ食事の時間ですよ。ここまで持ってきてもらいます?」
「お願いしてもいい?」
たわいのない会話の後、トビオが部屋から出ていく。
悲劇は、そのあと起こった。
「大変です!!」
「うわっ!ノックもできないのか!」
結構な時間が立ち、遅いなーと考えているとき、急に部屋のドアが開き、兵士が入ってくる。
「申し訳ありません!ですが、緊急事態です!!」
「何があったんだ!」
この慌てよう、只事では無いと感じ、まくし立てるように問いかける。
だが、兵士から答えは帰ってこなかった。
目の前で、血飛沫をあげて兵士が倒れていく。
「やーっと最後の姫、みーっけ♡」
「ッ、貴様ァ!」
私は、咄嗟にそこにあった剣を構える。
そこに居たのは、この国の勇者とされる3人の悪魔達の1人、
テツロウ・クロオだった。
肩には私の妹の1人であるケイが抱えられ、ぐったりしていた。
「私の妹を返せ。そうすれば、危害は加えない。返さなければ、オマエを殺す!!」
「おーおー、血気盛んで怖いねぇ〜……でも、おまえに用があるのは、俺じゃなくて、」
「オレだよ。」
聞き覚えのある声がして、後ろを見ようとする。
が、それは叶わなかった。
「ッ、なんだ、これは!」
身体が、動かない。
ぎゅっ、
後ろから抱きすくめられ、身体を捩らせるが、まるで魔法がかけられたかのように動かず、まさに、手も足も出なかった。
「ねぇ、ケイジ………」
俺のモノに、ならない?
それは、悪魔の囁きで、私の耳に入っていく。
そこから、頭が、まるで麻酔がかけられたかのように麻痺していく。
この悪魔の囁きに、耳を傾けてしまったら、もう終わりだ。
「やだっ!」
ここで頷いてしまったら、私は負けてしまったことになる。
自分に……
「そっかぁー……じゃあ、力づくで奪うね?」
そう言われた瞬間、身体がふわっと浮くような感覚に襲われた。
気づいたら、国の上を飛んでいた。
隣には、私の可愛い妹達が、私と同じように拘束され、抱き抱えられていた。
「これから、仲良く一緒に暮らそ?」
きっと、楽しいよ?
悪魔は、天使のような笑顔で笑いかける。
それもいいかもしれない。
脱力仕切った私を、ボクトは優しく抱きしめる。
掠れゆく意識の中、耳元で何かが囁かれる。
「やっと、やっと堕ちた♥」
「堕としたー?……全く、遅いんだから!」
「まぁまぁ、コイツ女扱い慣れてねぇからなぁ〜………しゃーないだろ。」
「うるせぇ!哀れみの目むけんな!」
「にしても、随分時間かかったね……望むなら、なんでも叶えてあげるのに。」
「まぁな。あの国は、この子に変わって、俺が守る………可愛いこの子が、頑張って守ってきたからな。」
「溺愛してんだねぇ〜まぁ俺らもだけど♥」
「そうだねぇ〜♥……あ、もう着いたよ。」
「そろそろ起こすか。」
……To be continued
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