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1 我が呪われし蛇眼の反逆………
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「ふっ………我が呪われし蛇眼の反逆………」
犬塚 中(いぬづか あたる)はそう言って、ひどく大袈裟なポーズを取りながらほんのりと赤くなった左目に右手を翳ししゃがみ込む。
「はいはーい。目にゴミが入ったんだろー?こっち向いてー………はい、じっとして………」
そんな犬塚の顔をぐいっと容赦なく持ち上げ今にも唇が触れてしまうのではないかという距離で見詰めるのは由良 虎之介(ゆら とらのすけ)である。
「うん。取った、もう大丈夫」
嫌がり思い切り体を退け反らせ逃げようとする犬塚を頑として離さず、由良は犬塚の左目に入ってしまった長い睫毛を取り除く。
「なっ………気安く我が高貴なる蛇眼に触れるなっ」
そう言って犬塚は急に立ち上がると右手を大きく広げ、まるでどこかのTVアニメの主人公かのようにこれまた大袈裟にポーズを決める。
「はいはい。敏感で繊細だもんね?怖かったね?大丈夫、大丈夫。もう痛くないだろ?はい、これ眠り薬な?さっさとターゲットに飲ませて早くかっさらって来なよ。先輩」
一方由良は、そんな犬塚の言動に慣れているらしくその一切を無視し、ものともせずに淡々と自分がやるべき事を遂行する。
即ち目にゴミが入り痛がる犬塚の目からゴミを取り除き、長年二人で温めてきた重要な作戦を決行するのに何の不安要素もないように犬塚を安心させてやる事である。
ニッと歯を出して犬塚を見詰め笑う由良は頼り甲斐のある男前そのものといった感じで、今から人生最大の重大な作戦を決行する犬塚はその由良の笑顔に少しだけ、ほんの少し、緊張を和らげる事が出来た。
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