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跳ねた心
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水曜日。掃除がないため普段ならさっさと帰っているが、今日は日誌を片さなければいけない。
授業の合間に書いてしまいたかったのだけれど、あいにく移動教室が多くて書けなかった。
仕方なく放課後の教室で書き上げる。
日誌は苦手だ。特に、1日の感想。
どうして日直の1日の感想を書かなくてはいけないのか、さっぱり理解できない。
授業を受けて、ご飯を食べて、また授業を受けて、それで終わりじゃないか。毎日同じ。
……金曜日なら、別だけれど。
点検するのが天野先生だから、疲れた、眠かった。とだけ書いて終わりにした。
多分あの人は、咎めたりしない。なんだこれ、って笑ってくれる。
金曜日と同じように国語科準備室の扉をノックする。
「どうぞ。」
「失礼します。日誌渡しに来ました。」
「あぁ、お疲れさま。」
そういえば、金曜日以外にここを訪れたのは始業式以来かもしれない。
今日はコーヒーも緑茶も入れていないのか、埃と古い本独特の匂いが強い。
「……よし。悪いけどこれ、職員室に戻しておいてくれるか?」
「はい。」
何故か開いたまま渡されたので、そのまま受け取る。
中を見ると担任の欄に、俺も疲れた、眠い。とだけ書いてあって、思わず笑ってしまった。
「失礼しました。」
「ん、また明日。」
と、いたずらっ子みたいな顔をして手を振られた。
基本的には真面目でしっかりした人だけれど、時折こういうことをする。
その度に、なんだか友達みたいだ、なんて思う。
掌で転がされているだけな気もするけれど。
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