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sideりんご・みかん: 情が移る
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「……行っちまったな。」
「あぁ、そうやな。」
全速力で走ってるのか、どんどん小さくなっていく背中を見送る
「はぁぁ…〝出会いと別れは日常茶飯事〟って俺らが言ったけどさ、やっぱ結構くるな。」
「寂しいなぁ……これだから嫌なんよ、簡単に人と関わるのは。」
この、独特の寂しさ
次はいつ会えるのか分からない、微かな不安
それならいっそのこと、このままアサをギルドに誘うって手もあった。
だがーーー
「命がかかってる以上、軽々しく誘えねぇんだよな。」
この世界で死んだら現実世界ではどうなるのか…それすら分からない状況の中、そう簡単にギルドには誘えない。
「自分の命守るので精一杯やのに、人の命まで背負うのは無理や…」
俺たちだったら、別にいい。
それくらいの信頼関係を築けている
でもアサは? 言うて3日ほど行動を共にしただけだ。
それなのに、どうしてこんな後悔したような気分になるんだ?
「きっと、さ。あいつがいい奴だったからだろうな。」
「うん、そうやろうな。」
たかが3日だったけれど、とても感情豊かないい子だった
皆んなが血眼になって必死に生きている中、彼もまた必死だったけれど…でも、皆んなのそれとは違ってこの世界を楽しんでいるようにも見えて……
「本っ当に弓大好き人間やったなぁ、あいつ。」
「ははっ、語り出すと止まらなかったもんな。」
生粋の弓好き
そして好きこそ物の上手なれという言葉もあるように、あいつの弓はとても上手だった。
「ありゃ化けるで、りんご。」
レベルをマックスまで上げてスキルを全て覚えれば、きっと他の火力と妥当か…それ以上になると思う
〝弓は弱い〟と言われているのを真っ向から覆すほどに。
「俺らもおちおちしてらんねぇなぁ、みかん。」
「本当にな。次会うときはアサ驚かせようぜ。」
もっともっと、自分のクラスを極めて
この職で1番うまいのは自分だと…そう胸を張って言い切れるくらいに、強くならなければ。
「ま、もう夜だし。今日はここでテント張って明日から出発すっか。」
「おっけ。」
もう姿が見えなくなった方向を見て
笑いながら、テントを取り出して準備をし始めたーーー
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