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side??: この作り手の、正体は
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最近、巷で有名になってる攻略本がある
仲介売り場や商店に、リアルの世界でいう100円くらいの値段で売られている本
安すぎて誰でもすぐに買うことができる
その本が、とても出来が良いらしいのだ
どんなに高い攻略本よりも遥かに情報量の多いその本は、とても分かりやすくて重宝するとのこと
攻撃パターンも、ギミックも、気をつけるべき場所も、プレイヤー動き方まで事細かに書かれている
既に大勢のユーザーが買っており、ベストセラーとなっていた
「これが、その本ねぇ……」
売り切れてたのが先程追加されていて、買ってみる
パラパラ開くと、確かに凄く分かりやすくて
「…へぇ、綺麗にまとめてんな。」
「そうだな。今はレベル25IDと35IDの2冊しか出てないから、またこいつの新しい攻略本が出てから挑もうとしてる奴らが沢山いるらしい。」
「成る程、ね。」
(まぁ、リスクを考えたらそれが先決だろうな。)
に、しても……
「なぁ、これって確実にTM経験者だよな。」
「だろうな。」
書き方などで明らかにわかる、その事実
しかも、
「これ書いてる奴って……遠距離職じゃねぇ?」
盾職や回復職の事も解説してくれているが、火力職の…特に遠距離に関しての書き込みが濃い
恐らく書き手は、遠距離火力型…弓かその他の職か……
(弓、ね…)
弓なんてこの世界じゃ1割いるかいないかだ
あんな弱い職、誰もしたがらない
(だが……)
パラリと最後のページを開くと、そこにはイニシャルのようなものが書いてあった
〝作者: A.S〟
(A.S………っ、)
まさか、いや…まさか。
(TMやってた奴で、遠距離火力で、A.Sって……)
『ねぇ2人ともっ、今日はどこ行く?』
『んーそうだな、今日は…』
『あそこなんか良いんじゃないか?最近良いアイテム落ちるみたいだし。』
『いいねっ、行こうー!』
4年前の、懐かしい記憶が蘇る
もしかして、もしかすると…こいつはーーー
「本当だって!俺は見たんだ!!」
「?」
ざわざわとうるさい街で、人だかりが出来ていた
「本当にこの攻略本作ってる奴と会ったんだ!レベル35IDの前で!!」
「っ、ちょっと行ってみようぜ。」
「あぁ。」
人だかりへ近づき、話を聞いてみる
「俺さ、攻略本も3冊ハズレで仲間も死んじまって、ID前で絶望してたんだ…そんな時そいつが1人で現れてさ、〝朝8時に完璧な攻略本渡すから待っとけ。〟って1人でIDの中入って行ったんだ!!」
「おいおいまじか!
で!?この完璧な攻略本を安く売ってる神様はどんな奴だったんだ!?」
「それがさ、弓だったんだよ…クラスが。」
(っ、!?)
予想してた通りで、息がつまる
そんな俺たちには目もくれず、どんどんその男に野次が飛んでしまって…
「はぁっ!? おいおい冗談はよせよ。弓がこんな攻略本作れるわけねぇだろ。大体弓が1人でID行けんのかよ。」
「ちょっと盛りすぎじゃね?もっとましな嘘つけよな。」
「なっ、本当だって!ちょっと待てよ!!」
「はい解散〜」と野次馬の一声で一気に人が引いていく
そんな中、さっきまで話してた奴のところに向かった
「おい、あんた。」
「…?何だよ、お前らも俺を馬鹿にすんのか?」
「ちげぇよ、少しくらい言われただけでマイナスになんな!
…なぁ。お前が会ったその弓使い、どんな髪色してた?」
「髪色……そうだなぁ…何かいろんな色が混じってたな。こう、赤や青や紫や…あと黄色も?だったかな。」
「っ、!! そいつどの方向に向かった!?」
「あぁ? 普通に次のIDに向かって歩いていったぞ?」
「さんきゅ!行くぞ!!」
「おう!」
パッと身を翻してその方向へ走りだす
「…なぁ、お前ももうわかんだろ?」
「あぁ。多分予想は間違ってないだろうな。」
ギュッと本を握り締めながら、ギッ!と前を向く
(間違いねぇ。これは、)
「この作者の正体は……
ーーーアサだ。」
[野良編]-end-
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