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「各階ごとに中型がおるんやったな?」
「だな。で、5階が鬼門…だったっけか……」
「ラストのボスも一癖ありますねっ。」
「取り敢えず、1階からやっていきましょう。」
「「おっけ!」」
道中にいる一般モンスターを倒しながら、チカが仕切って進んでいく
たどり着いた始めの中型の部屋は、薄暗い中窓から光が入っていてとても幻想的だった
「おぉ、あいつが動くのか。」
部屋の中心には、鎧を身につけた石像が目を閉じている
あの石像が動き始めたらカウントスタート…制限時間が設けられる
ここから先が、本番だーーー
「なぁんか、一気に緊張するなぁほんまに…死なんように動いていかないかんn、」
「死なねぇよアホが。」
ポツリと聞こえてきたみかんの声を真っ向から打ち消した
「俺がいる限りお前らは絶対ぇ死なねぇ。死なせねぇ。」
だって、俺が回復職だから。
回復職は、パーティー全員の命を握っている
少しでも回復が遅れたりバリア等のサポートが遅れてメンバーが死んでしまったら…それは回復職の責任だ
しかも、この世界では死んでしまったら復活せずに本当に消えてしまうから、もっと責任重大
(俺次第だ。)
そう、俺次第
俺の両手に…こいつら4人分の命が乗っかっている
(大丈夫だ、絶対に。)
だって、俺以上に上手い回復職を見たことがない
回復職では、この世界で1番PSがあるのは俺のはず
ーーーそう言い切れるくらいの努力は、してきたつもりだ
「おっし、行くぞ。前向けてめぇら。」
長いローブの下、隠れながら緊張で微かに震える体に叱咤して大きな石像を睨む………と、
ポンっ
「いや、やっぱお前が1番やなキョウ。」
「これは安心だな、本当。」
頭の上に乗る、大きな2つの手
その手に一気にわしゃわしゃわしゃっ!と髪を掻き回された
「ぅわっ、ちょ、やめろ!」
「あははは!か〜わえぇのぉ。」
「クスクスッ、」
アサやチカの笑い声まで聞こえて、一気に恥ずかしくなって
「っ、いい加減にしろっ!!」
バッ!と思いっきり振り払ってみかんたちの顔を見ると、その顔は優しそうに笑っていた
「ごめんなぁ弱音吐いて。回復職の前で〝死ぬ〟なんて言葉、失礼やったな。」
「悪い。」
「…分かりゃいいんだよ。」
恥ずかしくなってローブの裾をキュッと握る
「取り敢えず、お前らは全員誰も死なねぇ。絶対にクリアできる。だから前だけ見てろ。」
パーティーにおいて1番大切なのは、違いを信じ合うこと
前を向いて戦う盾職や火力職の背中をサポートするのは、俺の役目だ。
「おう、そうする。」
「何か楽しみになってきたなぁこのID登んのが。」
「それな!俺もワクワクしてきたわぁ!!」
「ふふふ、キョウちゃん有難うっ。」
最後にふわりとアサに微笑まれて、それにニヤリと笑い返して
「っし、じゃぁ行くぞ!!」
チカの掛け声でみんなで一気に部屋の中心まで走る
砂埃を立てながらゆっくりと石像の顔が動き、その赤い目が俺たちの姿をとらえた瞬間……
ーーーカチリ、と秒針の音が塔全体に響き渡った
「さぁ、スタートだ。」
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