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「なぁなぁちょっと、俺たちと一緒に冒険しようぜ〜!」
「な!頼むわ!!」
(っ、あぁだる………)
あれからチカとは直ぐに打ち解けて、現状分析から始めた
〝俺たちはこのゲームからログアウトできない。ログアウトするにはこのゲームをクリアしなければならない。〟
これは、どうやら絶対条件のようで。
『〝クリア〟の意味がわからねぇな。何をクリアすりゃいいんだ…?』
『多分そこがミソなんだろうな。まぁ、真っ先に浮かぶのは〝全IDのクリア〟だな。』
このゲームはTM同様PvEしかない
だから、冒険しながらIDをどんどん攻略してモンスターを倒す事を主としている
『誰でも考えることは一緒だとは思うが、とりあえず今の段階でクリアと聞いて浮かぶのはIDのみだな。』
『そうだな…まぁ俺たちもレベリングしてかなきゃいけねぇし、先ずはIDどんどんクリアしてくか!』
そんな流れで始めの街を出てIDの適正レベルまでひたすらにモンスターを倒した
クラスが槍と杖な分火力ほど削りは早くないものの、それでも確実に前に進んでいって
『着いたな、1番初めのID。』
レベル25が適正となる、この世界で最初のID
『初めてだからなぁ…どんなギミックがあるかもわかんねぇし、その辺の奴誘う?』
『そうだな、そうしよう。』
適当に声をかけると案の定直ぐに3人集まって適正人数である5人になって
そのまま、『じゃぁ行くか!』ID内に潜っていった
(いや、そこまでは良かったんだマジで。)
問題はその後
無事IDがクリアできてパーティーを解散しようとしている…正に今のことで。
「だから、俺たちはお前らと一緒に生活していくのは無理だって…」
「はぁ!?何でだよ!」
「まだ会ったばっかだろうが!んな奴らと一緒に行動共にするとか出来るわけねぇだろ!」
「そんなもん、これから互いを知っていけばいいだろ?」
「何だよそんなことか〜」と言いながら笑ってる奴らを一瞥する
(クソっ、何言っても全然通じねぇ。)
こいつらの考えは嫌ほどわかる
盾と回復の人口が火力より少ない世界だから、出来るだけそいつらと一緒にいたいんだ
そうすればIDとかに行く時いちいち困らずに済む
しかも、俺たちはPSあるから尚更手放したく無いっぽくて……
ガシッ!とローブから見える手首を掴まれた
「なぁ回復さんっ、あんたとは特にもっと仲良くなりてぇなって思ってたんだよな。一緒にいようぜ〜!」
「な、っ、!」
(嘘だろ、そういう意味も入ってたのかっ、)
3人のうちの1人がグイッと体を寄せてきた
下心丸見えの下品な誘い方
目の前で笑う男の顔が、リアルとかぶってーーー
「や、めろ……っ、」
(嫌だ、)
手を振りほどこうにも、思ったより力強く握られてるのかビクともしてくれない
それどころか、そいつの空いてる方の手がまたゆっくりと俺に向かって伸びて来た
ビクッ
「っ、」
(嫌だ…やだ……、)
理不尽な思いは、もう嫌だ
抵抗しても全然叶わなくて、向こうの思い通りになるのは1番の屈辱で
「ぁ……っ、」
リアルの嫌な思い出と重なって、カタカタ体が震えだす
(これから、一緒に行動すんの?)
朝も昼も夜も?
飯も風呂も寝るときも?
もしも…その瞬間の何処かで、服の中に手が入ってきたら……俺はーーー
(っ、ぅ…、)
いつもいつも、どうして俺ばっかこんな思いをしなきゃいけねぇんだ?
こんな顔だから?背が低いから?体が細っこいから?
この世界でも、やっぱり俺はこうなの……?
リアルならもっと抵抗するのに、ゲーム内で初めて起こるそれに脳が付いて行かなくて…頭が真っ白になってしまって
伸びてくる手が、俺の体に辿り着くまであと数センチ
(ぁ、や……、)
「っ、!」
体を固くして目をぎゅっと固く閉じた…瞬間
バシッ!!
「いって!」
何かを叩き落とすような音
そしてグイッと力強い腕に体を引っ張られて、ポスッと抱き込まれた
(っ、ぁ……、)
これは、チカだ
顔を見上げようとしたのに、頭の後ろに手を回されて奴らに見えないよう顔を服に押し付けられる
「お前、そういうのやめろよ。」
「はぁっ?なにテメェだけいい蜜吸ってんだよ。俺にも寄越せ。」
「日本語通じてるのか?やめろっつってんだけど。」
4年も会話してたのに初めて聞く、荒々しい声
でも、そんな中よしよしというように頭や体を優しく撫でてくれて、少しずつ体から力が抜けていく
(チカ……、)
キュッと目の前の服を小さく握ると、それに答えるようにクシャリと髪を掻き回された
「失せろ。」
「は、?」
「目の前から失せろ。聞こえないのか?」
「っ、てめぇ……!」
この世界にはPvPの要素はないから、人同士が争っても死ぬことはない
色々喚き始めた奴らをフル無視して、パッとチカの手が空中で動きパーティーを強制解散させた
「俺がパーティーリーダーだったからな。勝手にさせて貰うぞ。」
「な…嘘……だろ…?
おい、俺らまだ死にたくねぇんだ……っ、」
解散した途端、さっきまでの勢いがなくなって縋るように声を上げ始めた
(はっ、本当いい性格してんな。)
あんなに強気だったのに、もう弱気になってる
「頼む」「まじでお願いします」そんな声ばかりが聞こえてきて、グイッ!と押し付けられてた体から自分の体を離した
「誰がてめぇらみたいな奴と仲良くすんだよボケが。脳内花畑広がってんじゃね? さっさと失せやがれこのカス野郎。」
ありったけの暴言と冷たい視線を送って、チカの腕を掴みながらもう用もない奴らの元から去った
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