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sideアサ: その出会いは、突然に
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「いい人……ねぇ…………」
後5人の枠がなかなか埋まらず、今日も今日とて各自街に散らばりスカウトをしている
(キョウちゃんたちも、何も無し…)
フードから顔を出して話しをしないといけない分、「キョウちゃんを1人にしたら危ないと思う」とチカと話して、チカが一緒に行動してる
…けど、2人も何も動きは無いようだ
僕は1人で行動してるけど、顔も平凡な分フードから顔を出して話しても全然そんな目で見られることなく話ができている…けど、
(やっぱ僕って話するの下手……)
ちゃんとシミュレーションしてるはずなのになぁ…
いざとなると上がってしまって自分が主導権を握って話す事が出来ない
(おかげであんまり話聞いてくれないし…僕やってる意味あるのかなぁ。)
いっそ皆んなが集めてくれるのを待つべきか……
いや、でもそれだと受身だっ!だめだめ、ちゃんと自分から動かなきゃ!!
(でも、な………)
空を見上げたら、もう夕暮れ
「今日も収穫なしかぁ。」
こんな事してもう半月
もういい加減前に進みたい、なのに……
「はぁぁ…帰ろ。」
(キョウちゃんたち今どこだろ。落ち合ってご飯食べたいな。)
ベンチから立ちあがって、フレンドリストの画面を目の前に出す
確か今日2人は前の前の街に居たはず…
僕がそこまで行ったほうがいいかな、連絡しよっと。
画面を操作しながら歩いていく
……………と、
「ーーーなぁ。」
「っ、」
(え、?)
聞いたことのある声
(まさか、)
嘘だ、多分聞き違い
この人がこの世界にいるわけない
けどーーー
「……ぇ、」
ドクリと心臓が鳴って、息が詰まって足が動かなくなる
背中にかけられた声が誰に向けられたものなのかは分からないけど、でも、でももし…かしてーーー
振り返ろうとした瞬間、先にガシッと肩を掴まれた
「なぁ、ちょっと。」
ビクッ
「っ、!」
触れられた場所が一気に熱くなって、目の前がグルグルしてくる
振り返らないといけないのに…頭が真っ白になって出来なくて
「アサ…なんだよな………?」
「っ、ぁ……、」
すぐ後ろで囁くように呼ばれた、僕の名前
ーーー4年前、イヤホン越しでたくさん呼んでくれていた…その声
呼ばれる度胸がキュウキュウ鳴って、嬉しくて嬉しくて画面越しにふにゃっと笑ってしまって
「今顔見えてなくて良かったな」って、きっと真っ赤になってるだろうなって…
そんな事を思いながら、TMで一緒に遊んでて
(う、そだ…………、)
その声の主が……今、真後ろにいる
緊張と胸のバクバクで、頭が真っ白になって体が動かなくなって
そんな僕に痺れを切らしたのか、握られた肩に力を入れられグルッと体を回された
「……………ぁ、っ、」
そこに見えたのは、漆黒の髪の色
「はぁ、良かった。やっぱりアサだな。」
優しく笑うその顔は、同じく優しいその声色とマッチしてて
嫌でも僕が想像してた人物なんだと分かる
呆然とする僕に、綺麗な顔はニコリと微笑んだ
「久しぶり、アサ。」
「ーーーっ、ヨル、さん…」
小さく呟いたその名前に、嬉しそうに頷かれた
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