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(ぅ、そ、)
避けないといけないのに、咄嗟のことで体が動かない
ヒュンッと空気を切って落とされてくる爪は、もう目の前でーーー
「っ、ひ……!」
「アサ!!」「アサくん!」
グイッ!と強い力に後ろから引っ張られて、目の前には大きな体が滑り込んできた
ガキンッ!
「くぅ……っ、!」
「ァ、ルガ…さ、」
「アサ!大丈夫か!?」
「っ、ぁ…」
目の前いっぱいに、ヨルさんの驚いた顔
「ヨル、早くアサくんを移動させろ!もう持たん…っ!」
「はい!」
「変わりますアルガさんっ、そのままその爪俺の盾に流してください!」
「頼む…!」
大きな斧で爪をガードしているアルガさんの隣に、少し遅れてチカが走ってくる
ヨルさんに抱え込まれたまま、パッと敵から離れた
「アサ!!」
「ぁ、キョウ…ちゃ、」
すぐに光が飛んできてHPが回復される
「お前……こっの馬鹿野郎が!!」
「っ、!」
「後一歩遅かったら死んでたんだぞ!?まじで…はぁぁ……」
ガッ!と両手をキョウちゃんの両手で包まれた
(ぁ、)
その手は、カタカタ震えていてーーー
「っかった…良かった本当に。アサぁ……、」
「キョ、ちゃ…」
僕は、
(僕は今、何をしてしまったんだろう。)
やばい、記憶がない
サァァッと血の気が引いて、今になって体が震えてくる
(ハッと気づいたら目の前には爪が来てて、)
普通敵の動き見てたらなんなく避けれる筈なのに
それ、なのにーーー
「……アサ、お前次の光の輪が来るまでここで休んどけ。」
「ぇ、」
「顔色も悪いし何かぼうっとしてる…これじゃ危ないだろ。今はギリギリ何とかなったけど、次はわからないぞ。」
「俺も賛成。さっきみたいなことされると寿命が縮むわ、俺も回復のフォローが限界……お前俺の後ろいろ。
ヨル、先戻っから。」
「アルガがやべぇっ、」とキョウちゃんが白いローブをはためかせながら駆けて行った
「………っ、 ぁ、ぁの、」
「悪いけど言い訳は後だ。」
「っ、」
バッと立ち上がったヨルさんは、もう僕の方を見ていない
「後3回光の輪が来る。それには確実に入れるよう準備しとけよ。
じゃぁ、俺も戻るから。」
双剣を再び鞘から出してアルガさんの隣へと向かっていく背中を…ただ見つめることしか、できなくてーーー
(………僕は、)
確実にクリアできるメンバーで行ってることに、安心していた?
ここが最前線の癖に?
(馬鹿な、)
でも、考え事をしていた…こんな時に私情を持ち込んでしまった
それは紛れもない事実で。
(僕は、なんて事を………っ、)
自分がしてしまった失敗を受け入れられなくて
真っ白な頭のまま…呆然とヨルさんに言われた通り次の光の輪に備えて弓を構えた
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