アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
「お前さ、ヨルの事好きなんだろ?」
「えっ……」
隣に座った瞬間、ど直球で聞かれた
「隠さなくていい。何となくそうなんだろうなって感じてたから。」
「ぁ、そう、だったんだ…」
(……え、ちょっと待って。感じてたってなに?)
僕ってそんなにわかりやすいのかな…
どうしよう、もしかしてみんなにもバレちゃってる?
ヨルさんにもーーー
「大丈夫、気づいてるのは俺だけだ。いや、分からないが…恐らくそうだと思う。」
「そ、そっか。」
「あぁ。」
「…………。」
「………。」
(……は、話が終わった!)
どうしよう!気まずすぎる……
(大体、こんな話リアルでもしたことないや…)
何これ、恋バナ?
いや修羅場?
んん、なんか違うな…えぇっと……もっとこう………
「告白はするのか?」
「はっ!? し、しないよっ…まだ!」
まだ!?
ハッ!と口元を手で押さえる
(まだって何言ってんの僕、)
もしかして、告白するつもりなの?
今までみたいに?
それでまた気持ち悪がられて1人になっちゃう?
(嫌だ、)
リアルみたいに…中学時代みたいになりたくない
高校ではうまく隠せてたんだ、それなのに
(こんなところで、気持ちを溢れさせちゃダメだっ、)
ヨルさんだけじゃない
トマリちゃんやキョウちゃん、もしかしたらチカまで離れて行っちゃうかもしれない
(もう、野良には…1人にはなりたくないよ、)
みんなと離れたくない。
1人は……いやだ………っ
「大丈夫。」
「…ぇ、」
「大丈夫だ、アサ。だからそんな顔しなくてもいい。」
ポンポンッと大きな手が頭を撫でてくれる
「別に、男を好きになろうが女を好きになろうがいいと思う。好きになった相手がたまたまそうだったってだけだ。それなのに、男に生まれたから女を好きにならないといけないなんて暗黙の了解を当たり前に受け入れてる方がどうかしてると思うよ。」
「チ、カ、」
「それに、そうじゃなきゃ
ーーー俺も、キョウを好きにはならないから。」
「っ、やっぱり…そうだったんだ。」
「お前にはバレてると思ってた。」と苦笑された
何となくだけど、僕も感じ取ってた
チカのキョウちゃんを見る目が他より優しかったり、なんだか見守ってる感じが凄くしてて…
(もしかしてそうなのかな?って思ってたけど、そうだったんだ。)
納得
この2人なら全然嫌な気しないし、寧ろ応援したい。
(そっか、もしかしたらチカもこんな風に僕を観察してたのかな。それでヨルさんのこと好きなんじゃって気付いたのかな…?)
「アサはゲイなのか?」
「…うん、そう。今まで好きになった人はみんな男だった。チカは違うよね?」
「そうだな、俺は初恋も女で今まで付き合って来た人もみんな女だった。だから、今自分で自分にびっくりしてる。
でも、別に嫌な気持ちはしてない。」
「チカは、キョウちゃんのどんなところに惹かれたの?」
「………人柄、かな。」
「人柄?」
「厳しい中必死に立ってるあいつを、守りたいって…支えたいって、思ったんだ。」
元々LINEやVCのみでの繋がりしかなかったが、それでも文字や声に人の性格は充分現れる
「面と向かって会うまでは、普通に面白い奴だなって思ってた。強気で、口が悪くて、でもPSはあるし性格も実は素直な悪く無い奴で……
でも、実際会って一緒に旅をしてたら、分かったんだ。」
どうしてこんなにも口が悪いのか
どうしてこんなにも必死に前を向いてるのか
「多分、俺の知らないあいつの現実の世界では、嫌な事がたくさんあったんだろうなって。実際この世界でも、フードを手に入れるまであいつは容姿の所為で苦労してばかりだった。」
「自分の顔が嫌いだ」と言ったキョウちゃん
本当はこんなこと言いたくないって、顔に思いっきり書いてあった
根は優しいから、多分産んでくれたお母さんお父さんの事を想ってたんだと思うけど…
キョウちゃんにそんな事を言わせてしまうこの環境に、酷く腹が立つ
「確かに、言い方悪いがあいつはその辺の女よりも綺麗だ。でも、だからこそ舐められたくないんだろうなって。だから必死にPS磨いて、誰も並べないくらいに回復職を極めて、自分を守ってたんだ。
でも、実際のあいつの心はそんなに強くない。回復職は、自分の両手にメンバー全員の命がかかってるんだ。誰だって震える。あいつも本当は怖い。でも、それでもちゃんと前を見て必死に立ってて……そんなあいつの隣にいたら、もう堪んなくなった。」
「ははっ」と笑うチカは、なんだか凄くカッコよくて
「…告白、しないの?」
「そうだな、今はまだ。多分今したらあいつパニックになってどこかに消えていきそうで…だから、もう少し時間が経ってからだな。俺がその辺の声かける奴らとは違うって分かってもらってから、ちゃんと気持ちを伝えたい。」
「そっかぁ……うん。きっと上手くいくよ。応援する。」
「有難う、アサ。」
「んーん全然。僕もキョウちゃんとチカはお似合いだと思うな。2人と旅してて楽しいし、2人とも凄く好きだし。
ってか、今の話聞いてて思ったけどキョウちゃんってハリネズミみたいだね。」
「わかる。それキョウに言ったら『は?』ってひと蹴りだったぞ。」
「言ったの!? クスクスッ、すごい想像できるそれ。」
「何言ってんだお前、頭のネジ飛んだか?あ?」って言ってるキョウちゃんがすぐに浮かんだ
「…うん、やっと笑ったな。」
「へ、?」
「いや、何も。 で? お前はどうなの?」
「ぇ、」
「お前は、ヨルのどんなところに惚れたんだ?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
96 / 110