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sideアサ: クリアしたら、
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「お疲れ様、アサ。」
「ぁ、ヨルさんっ、お疲れ様です。」
持ってたカップをコツンとぶつけ合った
今日行ったIDは、無事クリア
大きなミスもなく5人が5人とも予定どうり動けた
(本当…良かった。)
僕もちゃんと遠距離の役割を果たせたし、足手まといにはなってなかったと思う
前みたいにぼうっとして失敗とかもなかったし、それに
「……ん? 俺の顔に何かついてる?」
「クスクスッ。いいえ、何も。」
こうやってヨルさんと2人で話しても、緊張することが無くなった
〝焦らずお前のペースで行け〟ってチカに言われたのが効いてるのかな?
「皆さん賑やかですね…」
「本当にな。」
少し離れたところでは、クリアした打ち上げがわいわい行われている
「あーあ、IDも後1つだ。早かったような遅かったような…って気分だなぁ。」
「本当ですね。これが終わったら……クリア、か。」
この世界から、遂に脱出できる
凄く凄くめでたいことなのに
(ちょっとだけ寂しいなんて…駄目かな。)
チカやキョウちゃんと過ごす毎日が、楽しくて
トマリちゃんっていう女の子の友だちが、初めてできて
りんごさんみかんさんと知り合えて、面白いことがいっぱいあって
アルガさんや秀麗さんは凄く大人で、しっかり叱ってくれて何だかお兄さんみたいな存在で
そして、ヨルさんともこうして出会えて……
本当…夢みたいな日々。
(って、実際僕たちの体は現実世界では寝ちゃってるんだから、まぁここも夢みたいなもんか。)
覚めなきゃいけないんだけど、今は…もう少しだけこのままで……なんて駄目かな?
「はは、アサ寂しい?」
「ぇ、」
「なんか、そんな目してた。」
「…ふふ、正直言うと寂しいです。出会った皆さんが凄くいい人たちで、楽しくて……まだ、別れたくないなぁなんて…」
「うんうん。アルガや秀麗もいい奴だしな…チカもキョウも……勿論お前も。
ーーーなぁ、アサ。」
「はい?」
「連絡先、交換しよう?」
「…………へ、」
びっくりしてヨルさんの方を向くと、少し寂しげな目で微笑まれた
「4年前、突然TMがサービス終了した時に後悔したんだ。アサのゲーム以外での連絡先、聞いときゃよかったなって。」
「っ、」
「後ひとつ…ナギロスのIDで、このゲーム内のIDは全てクリアした事になるはずだ。そうなるとゲームクリアになって俺たちはリアルに戻る。
その時にさ、現実世界でも繋がっときたいなって思うんだ。
だから…駄目……か?」
(そ、そんな、)
そんなの
「僕からも…お願いします……っ!」
パッとヨルさんの手を取ると、嬉しそうに笑ってくれた
(4年前…僕たちは同じ気持ちだったんだ……)
連絡先聞いとけば良かったなって、お互いに後悔してたんだ
そんな偶然…あってもいいの……?
キューっと心臓が鳴って、トクトク激しく動き出す
「うん。じゃぁアサ、約束だ。
1番最後のIDをクリアしたら、現実世界に戻る前に連絡先交換しよう。ね?」
「ーーーっ、はいっ!」
(やっぱりヨルさんは凄いや。)
みんなと離れたくないなってあんなに寂しかったのに、それが一気に何処かへいってしまった
(ヨルさんだけじゃなくて、キョウちゃんやチカとも交換しよう。)
4年前みたいに、離れ離れにならないように。
それ以外の人にも聞いてみようかな…
「これからラストに向けて、頑張りましょうねっ。」
「ん。絶対クリアしような。」
「はいっ!」
ラストの敵は、手強い
見たこともないギミックばかりを使ってくるから、初見は100%死ぬし経験者でも死ぬ確率の方が高い
(それでも、)
ここにいるメンバーのためにも
「リアルに帰りたい」と思っている人たちのためにも
ーーー精一杯戦って、クリアしなければ。
ラストのIDへ行くメンバーは、先程発表があった
今日行ったメンバー構成で変わらず行くらしい
(頑張ろう。)
ここから先、もう少し歩いたところにある最後のID
今はどんちゃん騒いでるけど、明日からは一気に緊張が走るはずだ
(大丈夫、大丈夫。)
みんなと一緒なら、絶対クリアできるも思う。
だから、
「アサー!ヨルー!こっち来いよ!料理無くなるぞ!」
「ぁ、はーぃ!ヨルさん行きましょうっ。」
「あぁ。」
今は思いっきり楽しもうと、みんなの元に戻った
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