アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
②
-
何故、素直に自分を認められない?
何故、晴れがましく笑えない?
いつも、どこか……何か欠けているような感覚。
『岩泉 一』という人間のパーツが、ひとつ足りないようなイメージ。
どうしたって、自分は不完全だ、と思わずにはいられない。
常に自分の『陰』の部分を気にしている。
すぐ隣にある、その冥い部分。
一度 引き摺りこまれたら脱け出せないような……『裏』の部分。
足りないモノが何であるかは、分かっているつもりだ。
簡単に言えば、愛だ。
愛、と呼べる、何か、だ。
愛 を語る、誰か、だ。
岩泉には愛を注ぐ対象がない。
見つかるアテも、ない。
だって既に失なってしまったのだから。
そして、他の何か……誰か、で 代わりが利くという可能性を、アタマだけではなく心が拒んでいる。
自分の片割れを見つけた、と思ったし、
自分もまた、その者の為に存在して求めて貰えるのだ、と岩泉は信じていた。
信じていたのに……。
菅原……。
何度となく口にした その名を、また懲りもせずに呟く。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 11