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⑧
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無理だろ、とか言っておいて。
何で此処にいる?
あいつら……及川と菅原の家の最寄り駅に?
仕事が終わって、気づいたら此処に居た。
改札も出てしまった。
さて、どーするよ?
あいつらの家なんか行きたくねーぞ。
弱ったな、と岩泉は唇を曲げて、暗くなりかけた空を仰ぐ。
と。その時。
「……あれ………?」
忘れたくても忘れられない声が甘く響く。
たった一言でも分かる。
まさか、そんな。都合の良いことが……?
「え、……岩ちゃん?」
いい加減 忘れ去りたい声が、がやがや騒ぐ。
「……………おぅ」
「やっぱり岩ちゃんだ!どしたの、こんなトコロで?仕事か何か?」
及川が如才なく話し掛けてくる。
「久し振りだな、クソ川。やんなる位 元気そうだな。……何でもねぇよ。……もう、帰るトコロだ」
そうだ、帰るしかないんだ、と岩泉がぶっきら棒に
答える。
菅原は、と言えば。
一目で良いから会いたい、と切望した菅原は、ばつが悪そうに及川の背中に半分 隠れている。
そうか。オレの存在は、お前の負担なのか。
岩泉の心が沈んでいく。
「ホントに夏以来だもんね。その節は どーも。
元気してた?
あ、ねえ、良かったら、これから一緒にご飯 食べない?オレたち、ソファーを見て来たんだよね。
で、どっかで食べて帰ろっか、って言ってたトコなんだー♪岩ちゃんも一緒に どう?」
やたらと饒舌な及川は、貼り付けた笑顔で岩泉を
威嚇する。
それを察した菅原が、及川の袖を引っ張り、申し訳なさそうに岩泉を見る。
それは優しさなのか憐れみなのか。
いや、しかし、それを判断する前に。
「ソファー……?」
岩泉が ぽつりと声を漏らす。
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