アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
帰り道
-
葵の支払いは俺達が払う予定だったけど、気づけば試作のアイス代まで払ったらしく、外で待っていた。
簡単に客とバイト仲間に挨拶して、フラフラするシキを引っ張って外に出る。
やべっ、太陽がそろそろ寝ようとしてるわ。
でも…さ。なんかさ、それ以上にヤベー奴いるけどさ。
「あ、あおいさ〜ん?」
「…………」
何故かずっと不機嫌そうな顔して俺たちと距離を置いて後ろを歩く葵。
いや、最初は前を歩いてたんだよ?追いかけて行くうちになんか急にスピード緩めたりでも近づいたら逃げたりして、あれよあれよという間にこんな感じになって…
なんでかはわかんないけど、すれ違う時チラッと見えた時泣きそうなのを我慢してるような顔してたからあんま強く出れないし、でもほっとけねぇし。
取り敢えずその距離を保ったまま行くけど…てかなんで俺がビクビクしなきゃいけねぇんだろ?
心当たりはないはず…うん、多分。
そのままの距離と雰囲気を保ったまま暫く歩いてると、肩が少し軽くなったと思った。
取り憑かれていた悪霊が除霊された…なんて冗談はなくて
(まぁもしかしたら本当に悪霊に取り憑かれてるかもしれねぇけどさ。否定はしねぇよ。霊感ないから)
漸く目を覚ましたシキが顔を上げて、遠くにいる葵のことを見ていた。
「アオどうしたの?」
「わからん。取り敢えず店出た時くらいからあんな感じで対処に困っていた」
「…ふーん」
自分で振っといた癖に、そう呟いたまま何も言わずに歩き出した。まぁ、俺もなんとも出来なかったんだから別に仕方ねぇよな。うん。
それでも薄情だなと思ってしまうようなそうでもないような…人間とは複雑な生き物だな.
しばらく沈黙した重たい空気のまま歩いて、二つの分かれ道のところで止まった。
俺とシキは右に曲がった先、葵はたしかここを左に曲がったところだったはずだ。
(さっき店で盛り上がって聞いたんだ。つーか聞き出したのが店長なんだけど、なんだあのコミ力。泥棒とかの聞き出しとか出来そう。そういう奴に合わせないよう気をつけねぇとな)
「あ〜❗️」
「五月蝿い。隣で騒ぐな」
バコっといい音で頭を叩けば、口を押さえたまま唸り声を上げてしゃがみ込む親友。
音が聞こえたのか、少し離れた距離にいる葵も驚いた顔をしてこちらを振り向いた。
でもこっちには来ない。
今のご時世風にいえばソーシャルディスタンスですか、葵さん。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 35