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よくみている人
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ニコニコと爽やかに微笑むのに対し、訝しげな目で見てしまうのは当然だと思う。
でもそれに困ったフリをするわけでもなく、俺が壊しそうになるまで握ってた皿を取って改めて洗うのはなかなかの強者だと思う。
つーかさっき洗わなかったっけ、それ。まぁ良いけど。
「アキラくんもだけどシキくんも、昔は俺たちの前でもたまにクールぶってたのに、今は完全に素を見せてくれるよね。肩の力をようやく抜いてくれて、おじさんは嬉しいよ」
「泣いたフリするのは良いっすけど、手泡だらけだから、目に当てるの危ないっすよ」
「大丈夫フリだから」
フリなの認めるのか。まぁ涙出てないもんな。
でも目尻が下がってフニャッとした嬉しそうな顔は仕事でも見せない姿だって知ってるから、それだけで俺もわかってしまう。
おじさんが本当に心配してくれたこと、本当に嬉しそうだってこと。
「僕とは会ってから長い時間経つし、あ〜んなに頑張ってようやく心を開いてくれたのに。あの子の前ではあっさりしてるよね」
「そうですか?」
「そうだよ。少なくとも僕に少しでもそういう顔を見せてくれるまで半月はかかったのに」
プンプンという言葉がぴったりな感じで起こってるけど、大の大人がやると痛いな。しかも男がやると尚更。
いくらイケメンでも許されるのと許されないのあるだろ…いや、許されてしまうくらいのイケメンだけどさ(クッ)
つーか頑張ってたのか?まぁ上手い料理を食わせてくれたり、ケガの手当てとかしてくれたり、色々世話になった自覚はあるけどさ。
バイトしたいって言ったシキのことも即採用だったし。
いつもニコニコ笑ってるだけに見えたけど。
ああ。でもそうだった。
この人は必要以上に干渉しない。けど、教えてくれる人でもあった。
見守ってくれたんだよな、俺たちのこと。あの時からずっと、何も聞かなかった時から…
「あの子がそうなのかな?」
「…覚えてないですから。忘れたままの方が良いですよ」
「ふーん…」
何か言いたげだったけど、言葉はこれ以上続かない。
俺も終わりとばかりに離れの食器を片付けに離れたから。おじさんがなんのことを言ったかなんて、考えたくなかったから…
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