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声楽部 1
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声楽部の部室は、施錠時間になるまで鍵が開いていて、簡単に入ることが出来る。
ガラッと勢い良く扉を開けると、そこには人がいた。
「だ、誰…?」
小さく言った言葉にその人が反応する。
「あ!橘くん!」
「え!古賀先輩?」
逆光でよく見えなかったが、声の主は声楽部部長。3年生の古賀 咲姫(こが さき)先輩だ。
「古賀先輩も練習ですか?」
部室に入り、扉を閉める。
「ううん、部室に大会で歌う楽譜忘れちゃって、取りに来たの」
古賀先輩は手に取った紙の束を、チラッと見せた。
「橘くんはまた練習?」
「あ…はい。2ページ目の3小節目がどうしても難しくて…」
俯き加減で言った言葉に、古賀先輩は優しく返してくれる。
「確に、ここ難しいよね…ブレス無いし」
古賀先輩は紙をめくり、俺の言った場所を確認した。
「そうなんです!どうしても途中で途切れてしまって…やっぱり肺活量が足りないんでしょうか…?」
少し目を逸らしながら恐る恐る質問する。
「ん〜…肺活量も足りない可能性もあるけど、ここは普通に難しいから、そんなに気に病まなくても大丈夫だよ〜」
「ほ、本当ですか!」
微笑みながら質問に答えてくれることにほっと胸を撫でおろす。
「あ、私もう帰らなきゃ!それじゃあ橘くん、練習も程々に、ちゃんと休憩するんだよ〜?」
扉の近くにいた俺に忠告し、笑顔で手を振ってくれる。
「お疲れ様です!」
「うん!さよなら〜」
扉が閉まった後、先輩が走っていく足音が遠ざかっていった。
「よし!俺もちゃんと練習しなきゃ!」
そう気合を入れて練習を始めた。
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