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勘違い 4
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「わぁ………」
流石はお金持ちの学校。図書室も充分広いけど書庫もそれなりに広い。
天井は図書室ほど高くはないが、何十段にもなっている本棚が余裕で入っている。もちろん本棚も俺なんかよりずっと、ずっと高くて、1番上の本なんか背伸びをしたって取れなさそう。
「ひばりちゃん。こっち」
名前を呼ばれてハッとする。
本棚に気をとられていた。
改めて伊澄先輩の所に行こうとするけど、本棚が沢山あって、迷路みたいになっているせいか、歩いても歩いても伊澄先輩の姿は見えない。
それに書庫は薄暗い。前が見えないわけじゃないけれど何となく怖いなと思い始めた。
「伊澄…先輩………?」
徐々に怖いという感情が膨らんできて、それを消したくて伊澄先輩に呼びかけてみた。だけど返事はない。
「え……………?」
「……え?嘘ですよね?先輩?ねぇ!」
気持ちばかりが焦って、手には汗が。
そして目に涙が溜まる。
「あ……………」
な、泣いちゃダメだ!聞こえなかっただけかもしれない……!!
もう1回!もう1回呼ぼう!
「伊澄先輩…!」
やけに静かな書庫には自分の声だけが響く。
伊澄先輩が居るはずなのに人の気配もしない。
既に目には溢れんばかりの涙。
さっきまで平気だったのに、うまく息が吸えなくなってくる。
だ、ダメなのに…………泣いちゃダメなのに…
どうしてこんなに涙がでてくるの…?
怖いよ……伊澄先輩……………
もう怖さも限界に達して、その場に座り込んだ。
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