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勘違い 5
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本棚に持たれかけ、膝を抱える。出来るだけ体を小さくして、涙が流れないように。
目だけ動かして辺りを見渡す。
「どこもかしこも本棚だらけ、書庫だから当たり前なんだけど」
あーあ、何も考えずに歩き回ったせいかなぁ………迷った。
ていうか、迷うほど広い書庫って逆に凄いよね…
「なんか俺、この学校で迷いすぎてない?俺って方向音痴!?なんかショック!!」
いやいや、ショック受けてる場合じゃないよ!ここから出る方法考えなきゃ!!伊澄先輩も探さなきゃいけないし!
「何かないかな…………あ!そうじゃん、伊澄先輩に連絡すればいいんじゃ」
ポケットからスマホを取り出して、チャットアプリを開こうとしたとき、あることに気づく。
「ここって圏外なの!?!?校内Wi-Fi飛んでるのに!?」
どうやら書庫には電波が無いらしく、連絡をするのは無理なようだ。
「あーーーもーー…………どうしよ…」
ぬか喜びしたせいで、気分はより下がった。
せっかく涙が乾いたのにまた涙が溜まる。
あーーやだやだ。涙なんか流したくないのに。
そう心では思ってもさっき乾いた分の涙と、今出てきた涙とで、溢れる涙は2倍。
止めたくても止まらない。
「うぅ………………」
涙を止めたい一心で涙を拭くけれど、そんなの意味がなくて、ただ手を涙で濡らしているだけ。
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