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勘違い9 伊澄side
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迷路の様な書庫の中を、何の迷いもなく歩く。
既に書庫の中は熟知している。どこにどの本があるか間ではまだ調べてる途中だからわからないけど、高くそびえ立つ本棚のせいで迷ったりすることはもう無い。
「ひばりちゃん、どこいったんだろ」
待っていた場所よりは、遥かに進んだつもりだけど………
ひばりちゃんは思ったより遠くに行ってるみたいで見つからず、やはり迷子になった様だ。
まぁ、あの子らしいけど。
クスッと小さく笑う。
あの子らしいというか、あの子だからというか…。
とりあえず、よくこんなにも遠くに来たなー
足もまだ痛いだろうに。
そんな風に考えながらまた奥に進む。
ふと、文豪達の本を並べてある本棚に人影が見える。
近づけば、それは膝を抱えて丸くなっているひばりちゃんだった。
「ひばりちゃーん、迎えに来たよ」
ひばりちゃんの隣に座って、優しく声をかけた。
けれど、彼から聞こえてきたのは細くて、小さな寝息。
「あれ?寝てる?」
はぁ、と呆れたため息を出す。
あーあ、なんだか拍子抜けした。
まさか迷子になってその上寝るなんて。
流石はひばりちゃん。本当に飽きないなーこの子。
まるで恋人に向ける優しい瞳で、隣に寝ている小さくて、ちょっと力を入れたら折れてしまいそうな程脆そうな男の子を見つめる。
「いやー、これはベタ惚れだわ!」
自分の多分叶わないであろう恋心に、笑いが出てしまう。
だけど、今だけ。
今だけは、俺とひばりちゃんの時間。
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