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好きなこと 2
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「そっか、残念」
伊澄先輩はそう言うと、笑いながら肩をすくめる。
"残念”と言ってる割にはあまり残念そうじゃない。
「あと、15分くらいかな……ひばりちゃんどうする?次の授業は出るんでしょ?」
伊澄先輩はスマホの画面チラッと見て、時間を確認する。
「え、あぁ…まあ……。次の授業はさすがに…」
「そう。じゃあ、まずここを出なきゃね!次来る時に迷子にならない様に、ちゃんと道覚えてね?」
伊澄先輩は俺の目線に合わせて、少し屈む。
伊澄先輩の綺麗な髪がサラっと目にかかる。
それに見とれていると、さっき腰に手を回された時の事を思い出してしまった。
うわっ…………………顔近っ……!!
一瞬で顔に熱が。
咄嗟に顔を俯かせて、自分の足を見た。
うぅぅ………顔あっつ…………
伊澄先輩って距離近すぎだよ………
熱くなった顔に手を当てて、熱を冷ます。
「ひばりちゃん、大丈夫?気分悪くなった?」
心配した声が上から降ってくる。
そして、大きな手がそっと俺の肩に乗せられた。
「あ………ぅ………」
たった肩に手を乗せられただけで、更に顔から湯気が出るんじゃないか?と思うくらい熱くなる。
そうすると、また伊澄先輩から「大丈夫?」と聞かれる。
「え…!あ!いや、大丈夫です!道ですよね!ちゃんと覚えます!」
「そう…?本当に………」
伊澄先輩は、まだ俯いたままの俺の顔を、覗き込んできそうになる。
それをさせまいと、恥ずかしさを押し潰して無理やり顔を上げた。
「大丈夫です!」
「ん、じゃあ行こっか」
こうして2人で、迷路の様な書庫の中を歩き始めた。
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