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好きなこと 4 伊澄 Side
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彼が勢いよく開けた扉は、大きな音を立てて閉まった。
扉の向こうでは5時限目の授業が終わったチャイムが鳴った。
その辺にあった読む気もない文庫本を手に取って、扉から少し離れた所に座って、文庫本をパラパラと捲る。
「はぁぁ………………」
"先輩として”か……………
告白ではない……よな。でも告白だったらいいなっなんて思ったりして。
そんなことを考えていると、誰もいない図書室から誰かの足音がした。
これは、知ってる足音。
それと、ちょっと怒ってる、かな。
ガチャとドアノブが回された。そしてそこに居たのは、同じクラスの東野 昴。
「おい、伊澄」
「随分怒ってるね。昴」
「はっ、お前のせいでこっちはキレてんだよ」
制服からでも分かる細い足をクロスさせ、腕を組む。
一見女性のように見えてしまうくらい綺麗な顔なのに、俺のせいとかで眉間にはしわがよっている。
それと、この口調。外見は文句なしなのに、これじゃあ勿体ない。
「あれ、俺なにかしたっけ」
理由は何となく検討つくけど、わざと笑ってみせる。
「……………はぁ…めんどくさいな。また、お前のお父様から伝言を頼まれたよ」
「へー、父さん来てたんだ。それで何だって?」
「いつもと一緒だよ。『授業に出席しなさい』だそうだ。……ったく、なんで俺に頼むんだよ…」
昴は呆れて、自分の髪をクシャッと撫でる。
これは、相当キてるな。
「ごめん、ごめん、次からはちゃんとするよ」
「あっそ、あー俺も疲れたから、サボろっかな」
そう言うと、俺の向かいに座った。
「珍しいね。俺が誘ってもいつもサボらないくせに……部活で何かあった?」
昴は一瞬目を見開いた様に見えたが、すぐに戻った。
やっぱり、何かあったみたいだ。
「お前、たまに察しがいいよな。俺、お前のそうゆう所嫌い」
「ははっ、何それ褒めてんの?」
「言ってろ。阿呆」
俺は昴の話を聞くことにした。
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