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4.東の優しさ
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「誉さんはこの時間だと…え、何処にいるんだろう」
密が熱を出してからは誉は東の部屋で寝ている。
それに誉が寮にいることが少なくなった。ちゃんと夕飯時までには帰ってくるのだが、朝食を食べたらすぐにいなくなってしまう。
現在時刻は10時過ぎ。いつもの事ならば誉はもう寮を出てる。まだ寮内にいることを願いつつ、206号室へ向かった。
-コンコン
「はーい」
「あの、私なんですけど…」
「あ、監督。誉ならいないよー」
「えっ、あ、そうなんですか…」
(なんで誉さんに用があるって分かったんだろ)
「まあまあ。とりあえず、部屋入ったら?誉今日は1時間くらいで帰ってるって言ってたから」
「えっ!そうなんですか?じゃあ、遠慮なくお邪魔します…」
-ガチャ
「失礼しまーす」
「はいはい。いらっしゃーい」
いづみは東の座っているソファの対面のソファに座った。机にはティーカップが2つ。中には紅茶が入っており、温かかった。
東が入れてくれたであろう紅茶を飲みつつ、少しばかり雑談をした。
「ん??」
いづみはこの部屋がとてもいい匂いがすることに気がついた。
東の部屋はいつもいい匂いがするが、今回のはいつもの匂いとは少し違う気がする。
「あ、監督気がついた?アロマの匂い」
「はい。でもなんか、いつもの匂いと違いますね」
「うん。最近は誉のためにアロマを変えたんだ〜」
「へぇ!そうなんですね〜。ちなみに何の匂いですか?」
「んーとね、ジャスミンの香りだよ。自信を失くした時とかに鬱な気持ちを取り去ってくれたり、幸福感で満たして勇気を与えてくれる、と言われているんだよ」
「へぇ!そうなんですねぇ」
他にもね、と言って東はジャスミンの効能についていづみに教えた。
ジャスミンの香りは不安やイライラを抑える効能があったり、鎮静作用があって、ストレスなどで心が疲れている時や無感動や無関心になってしまった時なども、気持ちを落ち着かせリラックスさせてくれる。ゆったりと穏やかな気持ちにしてくれるのが、ジャスミンの甘い香りなんだと教えてくれた。
流石東さんだ、といづみは思った。
細かい所に気づきフォローをしてくれたり、話を聞いてくれたり、アドバイスをしてくれたりなど東は優しい。
本当に細かい動作や表情、声のテンションなどですぐに見破られたり、ちょっとしたアクセやメイク、服装、香水の匂いなど褒めてくれる。
「あ。そういえばなんですが、密さんの看病に行った時にもアロマがあったんですけど、確かリンゴみたいな匂いがしました。あれは何のやつですか?」
「あぁ、あれはねカモミールローマンっていうんだよ。
ほのかに甘い優しい香りでくつろぎのある安らいだ気分にさせてくれるんだよ」
東はカモミールローマンのこともいづみに教えた。
自分らしさを見失った時の落ち込みや、嫌悪感、不安と言った気持ちを緩和させ、ありのままの自分を受け入れることを促す。そして安心感と癒しを生み出す。神経をリラックスさせてくれるので、緊張や不眠にも効果的。
それにね、頭痛や吐き気、食欲不振にも効くらしいよ、と言った。
最近の密はずっとうなされていてちゃんと寝れてない。それに、頭痛や吐き気、食欲もないと言っていた。
流石東で、早く密が良くなるようにと行動したようだ。
「あ、ちなみになんですけど、普段東さんの部屋で使ってるアロマの匂いはなんですか?」
「あぁ。それはね…な・い・しょだよ♪」
「えぇ〜。気になります」
「ふふふ。それよりそろそろ誉が帰ってくるんじゃないかな??」
「え、もう1時間も経ったんですか!?」
東と紅茶を飲みながらアロマの話をしつつ、ゆったりのんびりしていたらいつの間にか1時間が経とうとしていた。
いづみは東にアロマの話をはぐらかされて気になったが、今は誉に話を聞くことで頭がいっぱいだった。
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