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11.鍵
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なんて言ったけど東は特に何をするでもなくいづみ達と会話し始めた。
『試してみないとね...』
何を試すんだろうかとか考えたけど、そんなのはすぐ忘れてしまって今まで思い出さなかった。
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そんな事を思い出しながら密はギモーヴを取りに部屋へ行った。
机の上には数個の小箱とマシュマロの袋が沢山あった。まだ買ってきて片付けていないのか、マシュマロやギモーヴの小箱以外にも色々置いてあった。
とりあえず、ギモーヴの小箱を持って談話室へもどろうとした時に床に鍵が落ちていた。
見覚えのない鍵なのに、目が離せなかった。
来た時には床に鍵なんて落ちていなかったはずなのに、そこにあった。後で誉に聞こうと思い、手に鍵を持ち部屋を出た。
談話室に戻ると相変わらず誉がソファに座り読書をしていた。誉以外には誰も談話室にはいなかった。
密は誉が座っているソファの対面のソファに座った。小箱を膝の上に起き、小箱に付いているリボンを解こうと思った時、そういえばと手にある鍵の存在を思い出した。
「ねぇ、ありす」
「なんだい?」
本から顔を上げた誉の目の前に先程床に落ちていた鍵を見せた。
この鍵を見て誉が一瞬ビクッとし、顔を顰めた。
「ねぇ、この鍵─」
「密くんその鍵はどこにあったんだい?」
相変わらず険しい顔のまま誉は聞いてきた。
「えっ...床に落ちてた」
「これが落ちてたのか...」
「これは誉の??」
「違うよ。」
「え、じゃあ誰の?」
「......。」
誉は黙って何かを考え込んでいた。密のでも誉のでもないとなると、たまたま部屋に来た誰かが落としたことになる。誉なら密が出かけていた間も寮にいたわけだから、誰かが部屋を訪れていたらわかるはずだ。
「...密くん」
「何?」
「それは誰のでもないよ」
「えっ、じゃあ─」
「それはね私から密くんにプレゼントしようと思って買ってきたんだけど、どうも落としたしまったみたいだ。私から渡せなくてごめんね」
誉は先程の険しい表情と打って変わって、微笑みながらそう言った。部屋の誉の机の上は買ってきた荷物が沢山置いてあった。机の上を構っている時にきっと落ちてしまったのだろうと密は思った。
「ありがとう。でも、なんでプレゼント?」
「あぁ、それはね!」
第二回公演の主演お疲れ様という気持ちで買ったんだよと言った。
一瞬誉の返事がぎこちなく聞こえたが、気のせいだろうと密はスルーした。
「ありがと。」
「いえいえ。こんなプレゼントですまないね」
プレゼントでもらった鍵をズボンのポケットに仕舞おうと思ったら、誉にちょっと貸してくれたまえと言われた。
「密くん顔を下に向けて」
「...ん」
誉は密の首にかけてくれた。鍵にはチェーンがついていて、首からかけれるようにもなっていたみたいだ。
「密くんは色んな所で寝たり、走り回ったりするだろう?首にかけておいたら失くしにくいと思ってね」
「そっか。」
「あぁ、そうだ。もしも失くした場合はすぐに私に言うんだよ?」
「なんで?」
「そ、それはともかく、とにかくすぐに言うんだよ!」
じゃあ、と言って急ぎ足で誉は談話室から出て行った。何か今日の誉は挙動不審でおかしい気がしたが、あえてそこには触れないことにした。
誉が出ていったあと、密はギモーヴを平らげソファに丸まってそのまま寝た。いつも通り学生組が帰ってくるまでは談話室で寝ていた。
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