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13.七不思議
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部屋に戻ろうと思いキッチンでマグカップを洗って元の場所に戻した所までは良かった。
(あれ...階段こんなに長かったっけ...)
キッチンを出て2階へ行く階段を上っていたはずなのに一向に2階へつかない。
(......あ)
密は、これはあれだと思った。
”劇団七不思議”
冬組は劇団七不思議に遭遇している。密は開かずの扉に閉じ込められたことがあったりした。だから、いつ起こってもそんなに驚きはしない。
とりあえず上がれるだけ上がってみようと思い密は階段を上がって行った。
何処かに時計があるわけでもないので、時間がわからないから何とも言えないが、密は30分くらい階段を上がり続けた。もちろんそれは密の感覚であって、実際の時間はもう少し早いかもしれないし遅いかもしれない。
階段を上がっているとやっと廊下が現れた。その廊下の突き当りには窓があった。それ以外は何も無い。
窓からは明るい陽の光が入ってきていた。廊下を歩いてその窓に近付いて外を見る。外は晴れていた。でも外は普段見ている景色とは違う景色だった。
そもそも日本ではないのだろう。
窓の外を見ると庭があり、庭には薔薇が咲いていたり、噴水から陽を浴びてキラキラと光る水が流れていたり、周りの家はお洒落なレンガ造りの家だったりと日本にはない景色だった。
外には2人の少年がいた。
髪の毛がふわふわした白髪で薄柳色(うすやなぎいろ)の目をした12、13歳くらいの少年。
少し長めの臙脂色(えんじいろ)の髪を纏めた紅鶸色(べにひわいろ)の目をした15、16歳くらいの少年。
2人とも男の子なのにも関わらずとても綺麗な容姿をしている。服装から見ても貴族の子だという事がわかる。
(...ここオレ知ってる?)
密は何か引っかかりを覚えつつ、窓の外を眺めていた。
2人の少年は噴水で水遊びをしたり、薔薇の庭園でかくれんぼをして遊んだりしていた。この距離なら少年達の声が聞こえてもおかしくないはずなのに、音は何も聞こえなかった。
そんな風景を眺めてどのくらい経ったかはわからない。空が曇りだし、雨が降ってきた。少年達は建物の中に走って戻って行った。雨が降ってきたにも関わらず、雨の音さえしなかった。
何かおかしいと思いつつ、そろそろ寮に戻れるかもと思い、来た道を帰ろうと振り返った。先程までそこは廊下だった。その先には階段があったはず...。
「......。」
振り返った廊下の少し先に扉があった。何の変哲もない普通の扉。でもその扉はまだ開けてはいけない気がした。
階段が1度目を離したら扉になっていたのだから、今度は窓の方を振り返れば何か変わっているかもしれないという淡い期待を抱きつつ、振り返ってみた。
そこには廊下が続いていて、その先には上る階段があった。
扉は気になるが、階段を上っていけば寮に戻れるかもと思い、密は階段を上がった。何段か上がった所で少し目眩がした。目眩が収まりまた階段を上がろうと思った。
その瞬間後ろから声をかけられた。
「え?密さん?!」
「...?」
振り返るとそこにはいづみがいた。
「皆さん、密さんいました!!」
そういづみは叫んだ。密には何が何だかよくわからなかった。とりあえず階段を降り、いづみの方へ行った。そうすると冬組のみんながいづみの元へ集まってきた。
「...みんな何でここにいるの?」
「何でって...御影お前...」
「あのね、密。みんなでね密のこと探してたんだよ?」
「どうして?」
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