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14.帰ってきたら
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みんなは密のことを探していたと言っていた。
皆とても心配していたようだ。
「どこ行ってたんですか?一昨日風邪治ったばっかなんですから無理はしないでください。」
「...うん」
「でも本当にどこにいたんだい?」
「え...わからない」
「わからないんですか?」
「うん。知らないとこ」
密はあった事を話した。
少年達の事は黙っておいた。
外に出て星を見たあと部屋に戻れなくなって七不思議だと気づいて、気づいたら戻ってこれたということを簡潔に話した。
「また劇団七不思議か...」
「なんか冬組の名物になりつつあるよね」
「あんなもの名物になっても困る」
紬はちょっと楽しそうに、丞は迷惑そうに言った。
七不思議と言っても怖いものではなく、そこまで害があるものでもない。
「まあ、でも無事に戻って来れて良かったですよ!」
「...うん。そうだね...」
「......」
東と誉は浮かない顔をしていた。
「とにかく密が見つかってよかったよ。僕達ちょっと用事あるから部屋に戻るね」
「え、あぁ、はい!ありがとうございました」
「誉...行こうか...」
「......ッ」
東と誉は206号室へ戻って行った。去り際誉は泣きそうな顔をしていたのを紬は見逃さなかった。
「なんか東さんも誉さんも様子おかしかったですね」
「そうだな。何かあったのかもな」
「...」
「つむ??」
「え、あぁごめん。俺もちょっと東さんの部屋に行ってくるね」
「あ、あぁ。」
そう言って紬も206号室へ向かった。
「紬さんどうしたんだろ?」
「......」
「丞さん?」
「...ん?なんだ」
「いや、ぼーっとしてたので」
「ん、あぁ。大丈夫だ。それより、御影に飯食わせた方がいいんじゃないか?」
「うん。オレお腹減った。」
「そっか!そうだね!急いで用意するね」
そう言って監督はキッチンへ姿を消した。密もあとに続こうとしたが、丞が立ち止まったままなので声をかけた。
「たすく?」
「......。」
「ねぇ...」
「ん、あ、あぁ...。なんだ?」
「たすくは一緒に来ないの?」
「俺は部屋に戻る」
「そっか」
密は丞を置いてキッチンの方へ向かった。
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丞は自室へ戻った。
丞達の部屋204号室の隣は誉達205号室だ。先程の話から誉達は東の部屋206号室へ行ったのだと思っていたが、話し声は隣の205号室から聞こえてくる。
本当はこんな事したくないが、と思いつつ壁にもたれかかり隣の部屋の話し声に聞き耳をたてていた。
「...もうそろそろかもしれないね。」
「...っ」
東と誉で話をしているようだった。
「誉...これは僕達だけの問題じゃなくなってくるよ」
「そ...れは...」
「わかっているんでしょう?紬も咲也も気をつかってくれているよ」
「あぁ...そう...だね」
(なんでここでつむと佐久間が出てくるんだ...というかなんの話しをしているんだ。それより...)
誉にはいつもの賑やかさがなくなり、とても静かで何かに怯えているようにビクビクしながら話していることに丞は違和感を覚えた。
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