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春 -3-
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しかし安原は、すぐににやりと意味ありげな笑みを浮かべて滝川にすり寄った。
「大好きな滝川さんのこともっと知りたくて」
「気持ちの悪い冗談は辞めなさい少年」
「ひどいっ、そうやってすぐアタシの恋心を邪険にするんだから……もう、ノリオの馬鹿!」
悲劇のヒロインのようにひれ伏し、泣き崩れるように顔を覆う。くねくねと大袈裟に演じる安原のそれは誰が見ても爆笑ものだった。
しかし滝川も負けておらず。安原のこの程度のおふざけならある程度軽くあしらうことができるようにはなっていた。
「おーい、今は誰も見とらんぞ」
「……水を差すの大分上手くなりましたよね」
くるっと起き上がるとまた何事もなかったかのように笑顔を浮かべた。彼は爽やかな笑顔がよく似合う。
「もちろん冗談ですよ。ほら、所長があんな具合でしょ?僕ら同士でも連絡取り合える方が何かと便利が良いじゃないですか」
「そーいうもんかね?いきなりあんなこと言われるもんで、オジサンちょっとびっくりしちゃったよ」
「今さらりと自分をオジサンだと認めましたね」
SPRとそのゆかいな仲間達(協力人員)は全員で八人。その中で実は滝川が最年長なのではないかという説が浮上し始めていた。
女性メンバーの最年長は自称巫女の松崎綾子。その綾子でさえ、まだ二十三らしい。滝川は現在二十五。年齢不詳の調査員(らしいが、実際はどうなのだろうか……)リンも歳はそこそこに見えるが滝川とどちらの方が年上なのか、未だ予測をつけかねるところ。
「もし俺の方が年上だったらどーしよ……」
「現実を受け入れましょう滝川さん」
「十八の若造に言われたかぁないっ!」
嘆き悲しむ滝川の姿はあまりに不憫な様だった。
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