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夏 -3-
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かなり癖の強い進学校だった緑稜高校では、当然のことながら異性交遊などできるほど生活に余裕も隙もなかった。
これまで誰かを好きになったり、他人の恋ばなで盛り上がったりなんて浮いたことは一切なかったと言っても過言ではない。
初めの頃も、滝川のことはただの霊能者の一人という程度にしか見ていなかった。
それが、いつからだろうか。
いつのまにか滝川のことを変に意識するようになっていた。気がつけば視線でその背中を追い、何処へ行くでも一緒にいると嬉しくなったりもした。そういう些細な変化が段々と積み重なっていった。
「安原がそうゆうのってあんまイメージ湧かないけど、それってつまり“恋”なんじゃねえの?」
ある日、親しい友人に聞いてみたことがある。もちろん相手が男であるということは伏せておいた。
あまり体面が良くないことは、薄々理解していたのだ。
その言葉を聞いて安原は、「ああ、やっぱりな」と思った。
何となく、そんな風に言われることは分かっていた。けれど自分に限って、そういうことはないと思っていた。
複雑か感情が胸中に渦巻く。
たとえ自分がそれを受け入れられたとしても、相手が同じように受け入れてくれるとは限らないものだ。
しかも相手は八つも年上。そうでなくとも相手にされないことも感じていた。
“不毛な恋”というものを身を持って体験したような気がした。
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