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水族館 R編
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今日は零士と水族館に行く。
デッデートとかじゃない。
たまたま、水族館に行きたくなったから誘っただけだ。
零士には店長にチケット貰ったから無駄にするのもったいないだろ!
って言ったけど、本当は、こっそり自分で買ったんだ。
いつも何処に行っても零士が先に会計してしまうから俺は奢られてばっかりだから。
たまにはさ、オトコ見せたいじゃん。
だけど、俺が買ったチケットだってバレたら絶対に揶揄われるし、代金払うとか言いだしそうだし。
今日は迎えにきてもらうんじゃなくて、待ち合わせ。
新鮮で、なんかウキウキしてる。。
顔、ニヤけてないかな?
通りすがりの人がチラチラ見てくのは何でだ?
俺、どっか変かな?
自意識過剰なのかな?
零士、はやく来ないかな。
来るわけないよな。
まだ待ち合わせの時間まで30分以上もある。
あれ?
歩いてくるの、零士?
うっうわッッ
今、心臓がばくんッ!てした。
俺に気づいた零士が笑顔で手を振りながら走ってくる。
思わず振り返した手が恥ずかしくて困る。
ヤバい。
ドキドキが速すぎて心臓止まりそう。
「レキ、早いね。遅くなってごめんね」
「いや俺が早く来すぎただけだから」
正直に言うと
「なになに?楽しみで早く着いちゃった?」
とか阿呆なこと言いやがる。
「ッチゲーよ。時間間違えただけ!」
俺が苦しい言い訳をしたら零士は肩を震わせて笑ってる。
くそ。
水族館に着いて、大きなプールのような水槽にいるジンベイザメを見た。
青い体に白い水玉模様が可愛い。
イルカと一緒にいるけどケンカとかしないのかな。
ふと、零士を見るとこっちを見て微笑ってる。
んなッッ なに見てんだよ!
館内を歩いている時も水槽を見ている時も、ふと零士を見るとこっちを見てる。
ヲイヲイヲイちゃんと魚を見ろよ。
「零士、水族館に来たんだから魚を見ろよ」
そう言った俺に
「見てるよ。レキこそちゃんと魚見てる?
あっクラゲだ。行ってみようよ、レキ」
反論する間も無く手を引かれてクラゲの水槽の前にきた。
ふわふわ気持ちよさそうに揺蕩うクラゲを見ながら零士のことを窺い見る。
するとまたしても目が合う。
零士は、なんで俺ばかり見てるんだ?
と思っていたら零士から言われた。
「レキ、可愛いね」
そしてあろうことか腰をやんわりと引き寄せられた。
「バッッ なにすんだこのやろう!離せよ」
「暴れると目立っちゃうよ。
レキがデートに誘ってくれたのが嬉しくて。
ありがとう」
「チッ違う!デートとかじゃ」
耳元で言われた言葉が恥ずかしくて顔が赤くなる。
くそッ
調子狂う。
その後はイルカのショーやペンギンの散歩、美味しそうな蟹の水槽や回遊魚の水槽を見たりして水族館を後にした。
どの水槽も可愛くて癒されて楽しかったけど、俺は零士ばかり見ていた気がする。
なんでこんなに気になるんだろう。
すると、零士がはいこれ。って小さな袋を俺に手渡す。
開けてみると小さなジンベイザメのぬいぐるみが出てきた。
「あっかわい。お前、いつこんなの買ったんだ?」
そういう俺に零士は
「誘ってくれたお礼」
といって綺麗に微笑んだ。
これ、お揃いじゃないのかな?
と、フと考えてしまったことを、頭の上で両手を振って追い払う。
どうしちゃったんだ俺。
そんな俺の行動を無言で見ていた零士がニヤリと笑った。
気がした。
「レキ、気に入らなかった?」
急にしおらしい言い方で零士が言う。
「や、そんなことない。ありがとう大切にする」
慌てて言った俺に零士は優しく微笑んで俺の頭を抱き寄せた。
俺は、されるがままぼんやりと零士の肩に頭を乗せたまま凭れるように歩いていた。
駅までの道は海沿いで、夕陽に光る海が綺麗だった。
帰宅して、ベッドボードにジンベイザメを置く。
零士がくれたぬいぐるみ。
ぬいぐるみに興味はないけど、これは悪くない。
夜寝るまで俺を見てて、朝起きたらすぐ目に入るところにいる。
うん、悪くない。
零士が俺にくれた。
宝物ができた。
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