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悠人side
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「……」
彼の姿はどこにもない。
時計を見ればもうすぐお昼に差し掛かる時間だった
机の上には焦げた料理の数々がラップにかけられ並んでいる。
隣には、瓶詰めの薬が何種類か置いてあった。
『おはよう、悠人。
仕事が休めそうにないので心配だけど出かけます
何かあったら電話して、ご飯を食べて、ちゃんと薬を飲んでね。
お昼に1度帰ります。
和樹』
添えられたメモを一瞥し、辛うじて食べられそうな料理を選別していく
ラベルのない薬瓶の数々は、どれを飲めば当たりなのか分からないため、飲まずに薬箱の中へしまった。
レンジで温めた料理を並べ、席につく
微かに香る異臭に眉をひそめながらそれを口に運べば、苦いような、甘いような味が口いっぱいに広がった。
「……………ッ」
風邪のせいで喉が痛いせいか、食べれば食べるほどにどんどんと気分が悪くなっていく。
ある程度食べ終えたところで限界を感じ、吐き出すためにトイレへと駆け込んだ。
食べた物を一気に吐き出してトイレへ流す。
チカチカと光る視界が歪んでいく。
洗面所で口をゆすぎホッと一息ついたところで、またも逆流する感覚に苛まれ、その場で吐いた。
食べたものはトイレに流した。溢れたのは真っ赤な血だけだ。
もう一度口をゆすぎ、息を吐く。
ふと見上げた洗面台の鏡には、死人のような自分の顔がこちらをじっと見つめていた。
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