アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
capriccio【BF】
-
付き合いきれないと思うのに、
彼を拒めないのは、どうしようもないこの想いのせいだ。
capriccio
「……………んっ…!」
ヴァリアーのアジトの資料室。
滅多に人が来ないこの部屋で、いきなりベルセンパイにキスされた。
「……っ…ん…ふ……」
息が苦しくなるくらいにキスされて、やっと解放されたかと思うと再び口付けられる。
「………っはぁ…!!」
熱く火照った顔でベルセンパイを睨みつけても、そんなものは微々たる抵抗でしかない。
「…へぇ、よくそんな目できるな?毎回全然抵抗しないくせに」
「…………」
何も言い返せない。
この堕王子の態度がムカつくのに変わりはないが、実際ミーは今まで一度も抵抗できていない。
それはこの厄介な気持ちのせいなわけだが。
「カエルは王子のこと大好きだもんなー?」
「…キモイですよー堕王子のくせに」
「なんだよ本当のことだろ」
毒を吐いてみても同じ。
結局はこの堕王子に見透かされてる。
確かに、ミーはベルセンパイのことが好きだ。
…でも、センパイは違う。
この人はミーのことが好きだからキスするんじゃない。
ミーの気持ちを知ってて、からかってるだけ。
「…キライですよー…センパイなんて」
三重を張ってみたって、センパイのことが好きだという事実は悲しいほど変わらなくて。
こんな最低男を好きなミーは本当にバカだと思う。
だけど、それでも、
「…な、フラン」
逆らえない。
逆らえないのが、
悔しい。
「…………センパイは…何でこんなことするんですかー…」
ミーの気持ち知ってるくせに。
ミーのこと好きでも何でもないくせに。
何で?
下から見上げるようにたずねると、センパイはフッと笑ってミーの耳元に口を寄せて囁く。
「………カプリチオ」
カプリチオ。
その言葉を聞いた瞬間、ミーの目から一筋涙がこぼれた。
自嘲の笑みさえ浮かんでくる。
「………もう少し、オレのオモチャでいろよ」
そう吐き捨てて、センパイは部屋を出て行った。
…カプリチオ。
その意味は…ただの“気まぐれ”。
(かなわなくて、抜け出せない。)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 15