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1.忌み子の八重
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その夜は風が吹き荒れ木々は折れ、夥しい数のカラスが1軒の小屋の上を飛び回った。
まるで、''忌み子''の誕生を祝うかのような光景だった。
オギャア、オギャア
産声をあげた産まれたばかりの赤子を抱き上げた赤子の母はヒッと小さく悲鳴をあげた。
「な、なに?...''コレ''は...。」
血のように赤い髪、額の左側ににゅるりと生えた白い小さなツノ。生まれたばかりだと言うのに生え揃った歯。口を開けるたびに見える八重歯のような牙。
明らかに、ヒトならざるもの。
父は人間で、母も人間のはずなのに生まれたのは人と鬼のあいだの子で。
落ち着きを取り戻した母は、小屋の近くに咲いていた八重桜から取って
『八重 ヤエ』と名付けた。
その日の夜は八重を傍らに寝かせ産後の疲れにより母は眠りについた。
明日は八重を村の人に知られないようにどこかへ捨てに行こう...そう考えながら。
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