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合間に軽食を取りながら、そのままライと一昼夜過ごした。
会議がどうとか侍従がちらっと言っていた気もするが、そんなのに出られる状況じゃない。
でろでろにライと抱き合い、ずっと繋がったままベッドで過ごす。
ライは啼いて喘いで疲れ果てて寝て、またオレに啼かされて……ようやく生身の自分が無力な人間だという事、無力でもいいのだという事を、少しは受け入れたようだった。
オレの腕の中でまどろみながら、静かに涙を流してはいたけど、前ほど悲痛な泣き方じゃない。
誰にも触れられたことのない、体の中の柔らかな部分を貫かれ、征服され、どうにもできない快感に啼き善がる。
大声で悲鳴を上げ、オレに爪痕と歯形を残し、汗や唾液、精液で互いにぐちゃぐちゃになりながら気持ちをぶつけ合う行為は、半分戦いのようだったかも知れない。
朝、風呂の用意をしてくれた侍従らは何も言わなかったけれど、冷静になってみれば、ベッドは凄まじい有様だった。
腕1本も持ち上がらない程に疲れ果てたライを、風呂に入れてやったのは勿論オレだ。
王族専用、かつ共用の広い浴場ではなく、オレらの部屋に供えられた狭い風呂だ。湯船も2人で入るにはキツくて、けれど、その分密着できて悪くなかった。
ライの全身を洗ってやり、たっぷりと精を注いだ穴もキレイに洗った。彼は当然じたじたと抵抗したが、「いいから」とキスして宥め、やりたいようにさせて貰った。
スプーンも持てない彼に、食事をさせたのもオレだ。
ヒザの上に横抱きにして、「ほら」と促し口を開けさせる。「うう……」と唸りながら真っ赤になるのも、目をギュッと閉じて口を開ける様子も、何もかもが可愛くて気に入った。
「勇者、辞める気になったか?」
こそりと訊くと、「やめない」と首を振られたが、以前のような気負いはない。
口をへの字に引き結び、上目遣いでオレを見るライ。
じわーっと赤面してるのが今一つ格好つかないが、それくらいで丁度いい。もう昏い目で過去ばかり見つめるのも、なくなりそうでホッとした。
2日ぶりに顔を見せると、色々報告は受けていたらしい。父王や弟王子から、生温い目で見つめられた。
「1週間も籠られたらどうしようかと思ったぞ」
そんな父王の言葉に、「オレの自由でしょう」と睨みを返す。
だが、オレらのせいで会議が延期になったと言われると、さすがに少々気が引けた。
「なぜ我々のせいだと?」
不思議に思って訊くと、どうやらオレらというより、ライの出席が欲しかったらしい。
「は? 彼に何をさせる気ですか?」
せっかくこれからだというのに、また国の事情で振り回すのか?
やりたくもない行事で疲弊させ、「勇者」という肩書きに縛り付けて。そうして、また昏い目をさせる気なのか?
「冗談じゃない!」
ムカッとして立ち上がると、「落ち着け」と座るよう指示される。
その後、父王から説明されたのは――大陸に残されていた随行騎士団の引き上げが、全て完了したという話だった。
命を落とした騎士も多かったが、重傷を負いつつ生き延びた騎士もそれなりにいたようだ。
彼らについては確か、海沿いに領地を持つ貴族たちが、領内の港から船を出し、引き上げを支援するという話だった。
生き残りを探すのはそれ程大変ではなかったようだが、何しろ魔王の本拠地があった大陸だ。魔王が斃されて勢力を失くしたといっても、魔物の残党はこの近辺より当然多い。
魔物の散発に苦戦したこともあり、ようやく避難が完了したのは、つい数日前だったらしい。
「勇者殿の協力があれば、もう少し早かっただろうがな」
父王はぼそっとぼやいていたが、少し前までのライは体調を酷く崩していたし。その後だって、昏い目をして健康とは言えない状況だった。
慰問や茶会だって却下する程だったのに、魔の大陸に戻すなど、させられる訳がない。
父王もその辺は、さすがに把握してたのだろう。
「冗談じゃありません」
オレが顔をしかめると、「もしもの話だ」と手を振って、その話は終わりになった。
ただ、引き上げの支援に行かなかった分、帰って来た生き残りの騎士達をねぎらうぐらいはして欲しいらしい。
命を落とした騎士達への、慰霊もやはり必要だろう。
「1ヶ月後、慰霊祭を行う。それに勇者殿も参加して欲しい」
父王の言葉に、「そうですね」とうなずく。
オレらの不在で延期になったのは、つまりそれに関係する会議で、「勇者ライ」の出席を、王や諸侯が求めるのも理解できないことはなかった。
辛いなら、勇者なんか辞めればいいと、今でもオレは思っている。
だが、勇者を辞めないと言ったのはライだし、本人がそう覚悟を決めるなら、オレは隣で支えるだけだ。
オレだって本当は、ライがライらしく、「勇者」としてオレの横に立ってくれるのを望んでいる。
いつかオレが王になる時、真横に立ち、堂々と背筋を伸ばして、オレの治世を支えて欲しい。誰からも文句を言われない、最高で唯一のパートナーでありたい。
そのためには、オレの腕の中でただ甘やかすだけじゃダメなのだと、分かっていた。
「分かりました。ライに伝えましょう」
片手を胸に当てて父王に告げ、足早に自分の寝室に向かう。
ライはベッドの上にうつぶせに寝そべり、あらゆる鈍痛にうめいていたが――慰霊祭の話をし、「会議に出るか?」とオレが訊くと、跳ねるように起き上がった。
「出ます」
キッパリとうなずく声に、昏い光も迷いもない。
それを少し寂しく思う反面、彼の頼もしさに頬が緩んだ。
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