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赤司 song5
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♪"あなたの指がその胸がその瞳が
眩しくて少し眩暈がする夜もある"
夜中に喉の渇きを覚えそっと目を開ける・・・
横には静かに呼吸を立てて眠る黒子が居る
そうだ・・・・夢ではないのだ
眠る黒子の白く細い手にそっと自分の手を添える
「ん・・・赤司くん・・・??」
まだ眠たそうに目を擦りながら起きる黒子
「すまない、起こしてしまったか?」
「・・・いえ、大丈夫・・・です」
横になりながらオレを見上げる黒子の瞳は月灯りにそっと照らされてとても綺麗だった
「喉が乾いてしまってね・・朝には早い、黒子はまだ寝ていても大丈夫だよ」
「・・・はい、分かりました・・・・」
そう言いながら黒子は再び目をつむった
夢を見ていた気がする・・・
そう、懐かしいあの頃の・・・・
♪"それは不意に落ちてきて あまりにも暖かくて
飲み込んだ七色の星"
黒子と初めて出逢ったのは中学の時だ
このオレが青峰と一緒に居た黒子に一瞬気付かなかったのだ・・・・それはオレには初めての感情だった
オレは少し先の未来が視える
だが、黒子にはそれが視えなかったのだ・・・いや、正確に言うと、他のヤツらはハッキリと視えるが、黒子に対してはボヤけて視える状態だ
感覚に近い
多分こうだろうっていう・・・
黒子はきっとオレ達の鍵になるだろう
そんなハッキリしないものに、オレは黒子に声を掛けた
『パスに特化したプレーをしないか?』
黒子は一つ返事で『分かりました』
とだけ答えた
普段のオレなら確実な物以外には行動を起こさない
だがこの時オレは黒子に何かを感じたんだ
バスケにも
そして、それ以外にも
急に現れた黒子はオレの助言にも従順に耳を傾けどんどんパス回しが上手くなっていく
まぁ、それ以外はからきしだがな・・・
そんな黒子の成長を横目で見てオレは心の奥底に湧き上がる何かを感じていた・・・
この感情の正体を知ってはいるが、なにせ黒子は全く読めない・・・
だからオレはこの感情に名前をつけず、そっと飲み込んだ
♪"弾ける火花みたいに ぎゅっと僕を困らせた
それでまだ歩いてゆけること 教わったんだ"
家柄何かと我慢する事が多いオレの中にはもう1人の自分がいた
その"僕"はオレが動揺し不安定になる時に代わりに現れる
周りの感情がオレを困らせた
何もかも信用できない
まだ大丈夫・・・・
唯一オレが打ち解けられたのはバスケだった
周りのヤツらとは多少の壁もあったが、キセキの連中とは何かと馬が合った
その中でも、黒子は違って見えたんだ・・・
だがそんな中、キセキは自分達の才能を開花させていった
オレはそれに焦り、耐えきれずもう1人の自分が出てきた
そんなオレに対して黒子は『キミはだれですか?』
そう言ったね
だけど否定はしなかった・・・
もう1人の"僕"も気づいてくれた事によって喜びと言うのを感じた
♪"神様 どうか 声を聞かせて
ほんのちょっとでいいから"
ある日中学の卒業式と共に黒子は途中で消えてしまった
誰にも何も知らせず誠凛という新設校に行ったお前にオレは何も出来ずにいた。いや、何もしなかったんだ。出来るはずもないだろ?その時は"僕"だったし、引き留める訳にも行かなかった。
それは、オレが・・・オレ達キセキがそうさせてしまったからな・・・・
声が聞きたい・・・
逢いたい・・・
あの時そっとしまった感情が蘇りそうになる
だが、オレには何となくまた逢えるような気がしていたんだ。
それは、オレの持つ「先を読む能力」ではなく、ただ漠然とそう思った。
オレが口にする「絶対」ではなく「多分」と言うそんな曖昧な言葉でさえ縋る思いだった。
♪"もう二度と 離れないように
あなたと二人 あの星座のように
結んで欲しくて"
ウィンターカップ後、初めて『負ける』と云う感覚を味わったオレは何故か今までのしがらみから開放された気持ちになった
そしてもう1人の自分と別れを告げ"僕"から"オレ"になった自分は、今までの失態を反省し、黒子に告白をした。そう、今まで黒子にしてきた事への懺悔と"オレ"の時の自分は黒子が好きで未だにお前が好きだという二つの告白を。
長い沈黙の中、黒子は『・・・ほんとは知っていたんです。赤司くんがボクの事をどういう風に思っているのか・・・でもボクも気付かないふりをしました。』
正直驚いた。ほんとに黒子は何もかも予想外だ。オレの『読む力』も効かないほどに。
まさかオレの気持ちがバレていたなんて。
『でも、実はボクも君に惹かれていたんですよ??それは今でも変わらず・・・正直許せないと思っていたキミの行動も今日のたった一言の懺悔で許せてしまう程に・・・こんなボクでもいいんでしょうか??』
そう言う黒子の腕を引き寄せオレは力いっぱい抱きしめた。
『あぁ、オレはお前がいい。お前じゃないとオレはダメなんだ。』
黒子を抱きしめながらそう呟いた俺はもう一生離れたくない、離さないとその日誓ったのだ。
♪"夢の中でさえどうも上手じゃない心具合
気にしないでって嘆いたこと 泣いていたこと"
それからオレは黒子と何度か体を重ねるようになったけど
隣で寝ている黒子がたまにオレを抱きしめることがあった。理由を聞くと、『なんとなくそんな気分だったので』と微笑むのだ。
その時は決まってオレが夢を見ている時だった。
許されても尚、オレの根幹には未だ黒子への罪悪感が残っているのだろうか
♪"解れた袖の糸を引っぱって ふっと星座を作ってみたんだ お互いの指を星として それは酷くでたらめで 僕ら笑いあえたんだ そこにあなたがいてくれたなら それでいいんだ"
「───しくん───赤司くん!」
「・・・っ?!」
部屋を出てリビングに居たオレは飲み干したコップを片手に立っていた
少し声を張ってその手をつかみながら呼びかける黒子に気づき目をやる
「あ、すまない気付かなかったよ」
「珍しいですね、赤司くんが僕の気配どころか呼びかけにさえ気付かないなんて・・・貴重な物が見れました」
「ハハッ、オレだって考え事で気付かない事だってあるよ」
「・・・僕の事ですか?」
「・・いや、そうだな、お前が可愛くてどうしようか悩んでた所だよ」
「・・・茶化さないで下さい」
「茶化してなどいないよ」
そして黒子はオレの瞳をじっと見つめてからゆっくりと語り始めた・・・・
「僕は知っているんですよ?・・・・夜赤司くんはいつも僕の隣でうなされてこう言うんです『ゴメン、黒子』って・・・僕はもう許したって言うのに、キミと言ったらまだネチネチと根に持って・・・」
「・・ネッ?!おい、酷いな」
「当の本人が許してるんですよ??なのにキミは夢にまでうなされる程まだ後悔してるなんて・・・しかもその本人が隣にいるのに」
黒子は少し拗ねたような顔をして頬を膨らましたがそんな顔さえも愛おしい
「・・・キミ、僕が怒ってるのに何ニヤけているんですか?」
「ふふっ、いや、可愛いなと思って」
「///もう!またはぐらかそうとする!」
♪"今なら どんな 困難でさえも
愛して見せられるのに
あんまりに 柔くも澄んだ
夜明けの間 ただ眼を見ていた
淡い色の瞳だ"
「僕が隣に居るんです、謝罪ならいつでも受け付けていますよ??」
少しずつ外は明るくなってきたがまだ部屋の中は薄明かりで、そんな部屋の中、柔らかく微笑む黒子の手を取りソファーに一緒に座る
「・・・そうだな・・・・すまない、黒子・・・」
「・・・・はい」
「すまない」
「はい」
謝るオレに対して黒子はオレをそっと抱きしめ特に何も言わずただ返事をする
「すまない・・・許してくれ」
「・・・はい」
その後はオレは気がすむまで謝りつづけた
黒子もただひたすらそれに返事をしてくれた
♪"真白でいる 陶器みたいな 声をしていた 冬の匂いだ
心の中 静かに荒む 嵐を飼う 闇の途中で 落ちてきたんだ 僕の頭上に 煌めく星 泣きそうなくらいに 触れていたんだ"
気付くとオレは眠っていたのか先程よりも少し明るくなった部屋で黒子にもたれかかりながら寝ていた
「すまない、あれから寝てしまったようだね?」
「体勢を変えるのに苦労しました・・・気分はどうですか?少しはスッキリしました?」
オレは黒子の手をとり、そこに口付けを落とす
「・・・どうだろ?でもお前のおかげでかなり気分は晴れた気がするよ。オレはお前が居ないとダメになってしまうかもしれないな」
「ふふっ、なんかプロポーズみたいですね?」
そう言いながら薄く微笑む黒子はとてもキレイだった
♪"神様 どうか 声を聞かせて ほんのちょっとでいいから もう二度と離れないように あなたと二人 この星座のように 結んで欲しくて"
「・・・いや、プロポーズととってもらっても構わないよ」
すると黒子は目を見開きオレを見つめた
「・・・・え??あ、そんな、冗談のつもりだったのですが・・・・え??////」
「ホントはもっとカッコいいシュチュエーションでプロポーズしたかったんだが、お前が綺麗でつい言ってしまったよ。ずっと傍に・・・これからも居てくれないか??それとも、こんなオレではダメかな??」
「・・・そんなことっ!!と、突然過ぎて驚きました・・・」
「突然ではないさ、オレはお前とこういった関係になってから常にそう思っていたさ。だが、罪悪感は拭いきれなかったから言えずにいたんだ・・・その罪悪感を持つことを無くさなくても、こうして黒子が受け止めてくれる・・・またオレはお前に何度も謝るかもしれないがそれを否定せず受け止めてくれるお前とこの先もずっと生きていきたいんだ・・・・かっこいいプロポーズはまた改めてさせてくれるかな??」
オレの話を聞きながら黒子は涙を流し微笑む
「・・・・はい。でも、改めなくても僕にとっては素敵なプロポーズです。・・・・っ・・・僕もキミとずっと生きていきたいです。こんな僕ですが、ずっと傍に居させてください」
オレは黒子を強く抱きしめた
こんな幸せでいいのだろうか??
あぁ・・・・どうかこの幸せが永遠に続きますように・・・
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