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青峰 song7
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♪"どうして・・・君を好きになってしまったんだろう?
どんなに時が流れても君はずっと ここにいると 思ってたのに でも君が選んだのは違う道"
「よう、テツ・・・」
「青峰くん・・・今日はありがとうございます」
─────・・・ある日オレはNBAで一緒にバスケをする火神に1枚のハガキを直接もらった。
「あぁ?なんだ?コレ??」
受け取ったハガキにはテツと火神の写真が写っていた・・・あぁ、そっか。
「あー・・・いや、その・・・・」
「なんだ、お前ら結婚すんのか??」
髪をガシガシ掻きながら顔を真っ赤にして言いづらそうにしてる火神をみて、大体の事は把握したが聞いてみた。
「あぁ、そうなんだ。日本じゃ籍入れられないしよ、こっちでついでに式も挙げるかって話までなってよ・・・」
・・・付き合ってる事は知ってたが、いつの間にプロポーズしたんだか。
「・・・・そっか。他の奴らにもこれ、渡したのか?」
「あぁ!黒子が連絡とってハガキも送ってくれたみたいでよー。」
「・・・そっか。」
オレはそれ以上何も言えなかった・・・。
・・・・昔オレはテツの事が好きだった。
いや、正確に言うと今もまだ好きだ。
だから、オレは素直に火神に『おめでとう』と言うことができなかった。
♪"どうして・・・君に何も伝えられなかったんだろう?
毎日毎晩募ってく想い
溢れ出す言葉 解ってたのに(もう届かない)"
火神からハガキを貰って何日経っただろうか
あれから抑えていたはずの気持ちがドロドロと溢れ出てくる・・・・この気持ちから逃げたのはオレなのに
夜目を閉じて寝る度に昔の事が走馬灯のように思い浮かぶ
お陰で、バスケの調子もイマイチだ
「おぅ、お前最近どーしたんだ??」
火神が珍しいオレのミスプレーを心配してなのか聞いてくる。
「いや・・・最近寝れなくてよ」
「はぁー??それだけか??なんだ?悩みでもあんのか??聞いてやろーか??タダとは言わないけどな!w」
「はっ!テメーのふわっふわした脳みそでオレの悩み相談でもしよーってのか??それに、バーガーでも奢れっつーんだろ??お前の胃袋じゃ金がいくらあっても足りねーよ」
「ははっ!w冗談だよ!!まぁ、元気だせ!」
火神は気を使ってなのか冗談めいて心配してきたが、こんなドロドロした気持ちを言える訳がない。
今幸せの絶頂みたいな顔をしたやつに、オレの気持ちを伝えたら関係を崩してしまうかもしれない。
それに言うならテツ本人に言わなくては意味がないし。
まぁ、言ったところでどーしよーもねーから言わねーけど・・・。だけど、もしかしたら・・・なんて気持ちが心の隅っこにあるんだ。
♪"初めて出会ったその日から 君を知っていた気がしたんだ あまりに自然に溶け込んでしまったふたり 何処へ行くのにも一緒で 君がいることが当然で 僕らはふたりで大人になってきた でも君が選んだのは違う道"
中学、体育館で遅くまで練習しているテツと初めて出会った。
その時はまだお互い知らなくて、テツは影も薄いからオレは幽霊でもいるのかとビクビクしてたら、テツの方から声をかけてきて、そこで初めてテツという存在を認識した。
向こうはオレの事を知ってたみたいだけど。
でも不思議とすぐ仲良くなって、よく一緒に練習してたし、キセキの連中含めると部活と帰り道と常に一緒にいた。
その内オレは"光"でテツは"影"と呼ばれる様になって、そんな事にも優越感を感じていた。
たまにオレが1人で昼寝してる時にはそっとオレの横に来て、難しそうな本を読む。
その空間がオレにはとても落ち着ける瞬間で誰にも邪魔されたくないとさえ思った。
思えばその時点で既にオレはテツの事を好きになってたんだ。
だけど・・・・オレがその関係を壊したんだ。
バスケをやる気力をなくし、絶望したオレはテツと一緒にいる事さえも拒んでしまったんだ・・・。
テツを好きな気持ちはあったのに、それを告げることもせず、友達としてもオレは逃げてしまった・・・。
そんな事をしているといつの間にかテツは部活を辞めて高校も誰も知らない所に行って連絡もつかなくなっていた。
♪"どうして・・・君を好きになってしまったんだろう?
どんなに時が流れても君はずっと
ここにいると 思ってたのに(もう叶わない)"
高校に入ってテツが誠凛高校に居ることをさつきから聞いた。
そして、いずれ試合をするという事も。
再び出会った黒子の傍には火神がいた。
かつてオレを"光"と呼んでいたテツは火神を"光"と呼ぶようになっていた。
そんな2人にオレは嫉妬した。
あぁ、オレはまだテツの事が好きなんだなとその時改めて感じたんだ。
だけど、もうそこにはオレの居場所なんてなかった・・・
♪"特別な意味を持つ今日を 幸せがあふれ出す今日を 綺麗な姿で神様に誓ってる君を 僕じゃない人の隣で 祝福されてる姿を 僕はどうやって見送ればいいのだろう?"
─────・・・・
「大ちゃん!!早く!!もう、今日式だって言うのになんで何も用意してないの?!早く着替えてー!!!テツくんの晴れ姿見逃しちゃう!!」
さつきが日本からきてすぐオレの家に来たかと思ったらこう急かしてくる
「うっせぇーなぁー!女みたいにドレス着る訳じゃねぇーのに晴れ姿ってゆーか??」
「何言ってんのよ!!テツくんならどんな格好してもきっと似合っちゃうんだから!!」
・・・なに寝ぼけた事言ってんだか
そう思いながらオレは急かされスーツに着替え教会に向かう。
向かった先には既にキセキの連中や誠凛のやつらがいた。
はぁ・・・もう既に帰りてぇー。
そんな事を思ってたら音楽と歌声が聞こえ始め、後ろを向くと、そこには黒いタキシードを着た火神と、白いタキシードを着たテツがいた。
テツの頭には白いベールがのせられていて、花束を片手に火神と腕を組んで歩いてくる。
テツにしては柄でもないからなのか、少し頬を紅くして下を向いている。
そんなテツに思わずオレは見惚れてしまった。
その隣に居るのはなんでオレじゃねーんだろ??
この期に及んでまだそんなバカな事を考える・・・。
♪"もうどうして・・・君を好きになってしまったんだろう? あの頃の僕らの事を(もう戻れない) 考えた・・・(もう戻らない)考えた・・・ "
もし、あの時オレがバスケから逃げなかったら・・・
もし、テツから逃げなかったら・・・・
もし、テツに告白していたら・・・・
そんな下らないことを考える。
だけど、いくら考えたってあの日に戻れる訳でも、テツの気持ちが変わる訳でもないのに・・・・。
♪"どうして・・・君の手を掴み奪えなかったんだろう?
どんなに時が流れても君はずっと
僕の横にいるはずだった(もう叶わない)
今、オレが出ていってテツの手を掴んで一緒にここから逃げたらどうだろうか?
いや、出来ねーよ。
一瞬でもそんな事を思ったオレに嫌気がする
そんな事したって、テツの気持ちがオレに向くわけでもなんでもないし、ただただテツに悲しい思いをさせるだけだ。
そんな顔をテツにはさせたくねーし、見たくない。
「・・・・・ハハッ、オレはなんてバカなんだ」
そう呟いた声は誰にも届くはずはなく、1粒の涙がオレの頬をつたう。
「え?ちょっと、大ちゃん泣いてるの??」
「・・・泣いてねーよ。って、お前こそ泣きすぎ。ブサイクになんぞ」
「うるさいわね!もう・・・・だって、テツくん綺麗なんだもん・・・・」
あぁ、ほんとに綺麗だな。
♪"それでも・・・君が僕のそば 離れていっても 永遠に君が幸せであること ただ願ってる (例えそれがどんなに寂しくても) 辛くても・・・
さつきには怒られたけど、気にせず式の途中で席を立つ
外に出て空を見上げると青空で、その青空の中にさっき見たテツの姿を思い浮かべる
「テツ・・・・幸せそうな顔してたな・・・」
きっと、オレじゃあんな表情をしないだろう。
「青峰、ここに居たのか・・・」
「あー・・・赤司か」
「お前は黒子の事が好きだったのだろ?」
「なっ!・・・・チッ、やっぱ赤司には隠せねーか」
「当たり前だ・・・・と言うより、お前が分かりやすいのだろう?キセキの連中は皆気付いているぞ?」
「は?!・・・・何だよそれ」
「・・・ナゼ何も言わなかったんだ?」
「・・・・言える訳ねーだろ?何もかも遅すぎたんだ」
「お前もほんと損な性格だな」(・・・恐らく黒子も気付いてただろうに)
「・・・ほっとけ」
赤司と話していると、後ろから祝福の声とフラワーシャワーが舞う中テツと火神が出てくる。
「綺麗じゃないか」
「・・・あぁ」
とても幸せそうな顔をして二人は時折見つめ合いながらゆっくりとこちらに歩いてくる
「よぉ、テツ・・・」
「青峰くん・・・・」
「青峰、お前最後ま見てなかっただろ?」
「うっせーな、来ただけでも有難く思え!テツを泣かせたら許さねーからな?!」
「はっ、安心しろ!」
「今日は来てくれてありがとうございます」
「あぁ・・・お前の幸せそうな顔を見れてよかったよ」
テツはゆっくりと微笑みオレを見つめる
そして、オレは少しだけ傷む心を落ち着かせ言えなかった言葉を紡ぐ
「二人とも・・・おめでとう!!」
その言葉を聞きテツと火神は目を丸くしお互いに見つめ合い微笑み合うそして・・・
「ありがとう!!」
「ありがとうございます!!」
まだ、この気持ちは消えることはないが、テツが幸せならそれでいい・・・
オレはこの2人の傍で見守っていようとテツの幸せそうな顔を見ながらそっと心に誓った。
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