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『ご褒美スタンプカード』④
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「ほああ……!」
良い匂いにつられ下に降りると、リビングのテーブルには美味そうな料理が何品か並べられていた。
「母ちゃんのより美味そう…」
「そ、そんなことないから……!
…えっと、榊君家の食料は使ってないよ。…悪いと思って…その…料理を自分の家から持参してきた…んだよね。」
「え!?まじですか!?!?これ全部!?」
「う、うん…悪いし…
少し野菜とかしなしなになっちゃってるんだけど…ご、ごめん、ね。使った調理器具は全部洗っておいたから。
…お皿はその…ごめんね、勝手に使っちゃって。…流石にタッパーのまんまじゃな…って…思っちゃって…」
「いーやいやいやいや!!!遠慮しないで使ってよかったのに!!逆に感謝しかないですよ!!!」
申し訳なさそうに言うイブキさんを見てすかさず言った。
何品かと言っても4,5品あるのにわざわざこの人は俺ん家で飯を食うことを想定して作ってタッパーに入れて持参してきたっていうことだろ?…色々完璧すぎないかこの人。
そう。パーフェクトなのだ。仲良くなっていくにつれイブキさんがどんだけ完璧な人間か思い知らされた。
まず炊事洗濯掃除はできて当たり前。お菓子も作れて出来栄えはプロのパティシエも唸るほど美味いし、最近裁縫も得意だということも知った。
俺が「布地が頑丈なトートバッグが欲しいなー」と呟いたところ、次の日に古着のジーンズで作ったトートバッグを持ってきたのだ。しかも3つもポッケがついてるときた。
しかも「サブバッグだよ」と言いながら着物の帯で作った小さいバックと巾着袋までくれた。あまりのハイスペックさに気絶しそうになったよ。服も簡単に作れるらしい。
そこでようやくイブキさんの家に置かれていた大量の布の正体がわかった。あの時はどれだけ頭がスッキリしたことか。何度思い出しても気持ちがいい。
「えっと…じゃあ食べようか、榊君。」
「あ、はい!!!!ごちになります!!!!」
俺はそのままルンルン気分でイブキさんと一緒に食卓につき、手料理を味わった。
味はお察しの通り────美味かったです。
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「じゃあそろそろお暇するね…」
「泊まってけばいいのに…」
「ごめん…休日出勤だから…ね?」
「はーい…」
「じゃあ、……ま、また…ね…」
「お気を付けてー」
イブキさんと泣く泣く別れた後、俺は部屋に戻って布団へダイブする。
ちらりと横を見ると未開封の履歴書達が俺を睨んでいた。
…そういや俺も来週履歴書を書いて会社の面接に行くんだっけな……。めんどくせぇ。教師に無理矢理適当な会社選ばれて面接することが決定してしまった。
一応受けてはみるが、たとえ合格通知がきても行かないだろう。また怒られちまうな。
「なーにやってんだかなぁ…俺……」
好きなAV男優と同じ屋根の下で談笑して、えっちなことして、将来を心配されたりして。
大学4年になってからもう2ヶ月くらいか。そろそろ本格的に動かねぇと人生棒にふるっちまう。
イブキさんも…いいけど……まずは自分、か。
「………書くか」
俺は睨まれ続けてる履歴書達を手に取り、机に向かって行ったのだった。
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