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男の過去5
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日曜日 午後 19時
運命の時はやってきた
光成は指定されたレストランに入り、案内されたテーブルに行くと、7年前よりさらに美しくなった美晴が座っていた
美晴を見た瞬間の心臓の鼓動と視野が美晴一点に狭まる感覚、そしてなんとも言えない喜びが光成の脳を侵食した
しかし、その喜びもほんの一瞬のことだった
「光成、久しぶり。今日は会ってくれてありがとう。
この人は、婚約者の松木澄晴(まつき すばる)さん。」
「はじめまして。婚約者の松木澄晴です。」
男はぺこりと頭を下げ、そしてはにかんだ笑顔を見せた
頭を鈍器で殴られたかのような衝撃が光成を襲った
(おかしい…おかしい…おかしい…こんなはずじゃなかった…美晴の隣に立つのは俺のはずなのに…どうして、こんなさえない奴が…)
松木澄晴は、おっとりとした優しい顔で落ち着いた男であった。簡単に言ってしまえば普通…
そのことがさらに光成を追い込んでいった
自分の方が容姿もよく頭脳も優れているし社会的地位もある
なのになぜ美晴はこの男を選んだのだ
この時の光成にはわからなかった
それからは会話の内容はほとんど頭に入ってこなかった
ただ、美晴が結婚すること…
言い換えればもう自分のものには一生ならないことだけはわかった
車の後部座席で流れていく景色を見ながら
結局自分は何も行動せずに全てが終わってしまった事を
ただただ後悔しながら帰路につくのだった
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