アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
かれこれ30分たった頃、俺の手元にあるチラシは残り3枚ほどだった。
はぁぁ……やっと終わる……。
「はぁぁ……。」
盛大な溜息をつくと、白い家が立ち並ぶ路地を進んでいく。すると、チラッと緑の庭のような所が目の端に映った。
なんだあれ……?
そう思いながら、緑へ近づいていく。すると、そこは案の定、誰かの所有地なのかは分からないが、綺麗な緑が、ある範囲の地面を覆っていた。
「こんなとこあったんだ……。」
単純に綺麗な場所だと思った。
ん?
俺は眉を寄せた。なぜなら、その緑の芝生の上に寝転がっている人間を見つけたからだった。
何やってるんだ……?
俺はそいつに近づき、仰向けで露になっている顔を覗き込んだ。
う、わ……綺麗……。
顔が一気に真っ赤に染まるのを感じた。
眉に少しかかるほどの艶のある漆黒の髪。風に吹かれて、それがサラサラしているのが分かる。
閉じられた目には長いまつげが影を落としていた。
「……っ」
無意識にゴクリと生唾を飲み込んでいた。
頭がぽーっと熱に浮かされ、身体も火照っていく。
少し、だけ……。
そう思って、自分の顔を近づけた。
すると、そいつの目がパチっと開いた。その瞳は真っ赤で、驚いているのか目を見開いて俺を見つめていた。
「……誰だ、お前。」
そいつの潤った唇から発せられた言葉は、俺を正気に戻させた。
「……っ、悪ぃ!」
な、何やってんだ俺……。
男の顔を、綺麗だからって……覗き込むなんて……。
慌ててそいつから離れると、そいつは上半身を起こして俺を見た。
「……で、お前は誰だ?」
真っ赤な瞳が俺をまっすぐ見つめて、俺の名前を聞いている。
その目から逸らすなんて俺には出来なくて。
「俺は……っショウマ……」
反射的に答えていた。
ヤバい……なんか、顔が熱い気が……。
「……。」
すると、そいつはぽけっと俺を見つめてくる。
なんだよ……なんなんだよ……。
俺が目を逸らせないであたふた(心の中で)していると、そいつはふはっと吹き出す。
ドクンと心臓が激しく波立った。
「ふ、クククッ」
「な、なんで笑ってんだよ……。」
ドキドキと激しく鼓動する心臓を抑えようと胸を押さえる。
「ククッ、悪い。なんか面白くてさ。」
ニカッとさっきまでとは雰囲気を変えて無邪気な笑顔を見せてくる。
キュッと心臓が締め付けられるみたいな感覚に陥る。
なんなんだ、これ……。
「俺はレインだ。」
レイン……。
名前を心の中で呟いた途端、収まりかけていた心臓の鼓動が、また激しくなる。
胸が苦しくなって、また手で押さえた。
レイン……か……。
そう。これが俺のレインとの最初の出会い。この出会いは、運命なのか必然なのか。俺はそんなことを考えることもせず、俺はレインとの出会いを心から喜んでいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 75