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とうとう昼がやってきた。
今までの時間は、家庭教師に勉強やピアノ、ヴァイオリン、社交ダンスなどを教えて貰っていた。
そして、今は俺の一番嫌な時間。
「はぁ……。」
身体が重い気がする……。
俺、母様、父様、兄様、姉様は食事会に来る叔父様達に気を使わなければならなくて、ゆっくり食事を楽しむことが出来ない。会話も許されない。
そんな食事会があるかっての……。
「はぁ……いやだ……。」
すると、足元にミーヤが擦り寄ってくる。
俺はミーヤを抱き抱えて頬を擦り寄せた。
「みゃ、みゃぁぁ」
嫌そうに身体をグネグネさせていた。俺は「ごめんね、ミーヤ。」と言って解放してあげた。でもすぐに足元にやって来て、俺の膝の上に乗っかる。
「ミーヤ……。」
俺はミーヤの要求通り、背中や頭を撫でてあげる。
そこでふと考えた。
食事会、ショウマとだったらなぁ……。
と。
ありえないのに、ショウマとの食事会を考えると、いやショウマのことを考えると、気分が明るくなって、だんだんわくわくしてくる。
「クク……ショウマ、ありがとう。」
元気貰ったよ、さんきゅ。
そう呟いて、俺はミーヤを下ろして、自室を出た。
***
食事の間と言われる目の前にある部屋。そして、俺は気分が沈んでいた。
だが、俺はショウマのことを考えて、その沈んだ気分をふっ飛ばす。
「……よし。」
覚悟を決めて、大きな食事の間の扉を開け、一歩進んだ。
「こんにちは。」
俺がそう声をかけると、先にいたのは兄様と姉様で、挨拶を返してくれた。
ホッと息をつきながら席へ移動する。
「こんにちは、レイン。」
「よお、レイン。」
兄様も姉様も父様の金髪で、顔立ちは母様譲りでとても綺麗な2人だった。
「おや、いつも心底嫌そうに入ってくるのに、今日はそうでもありませんね。」
姉様、鋭い。
まあ、本当は嫌だったけど、ショウマに元気もらってるからな……。
「そうか?いつもと同じ仏頂面じゃねえか。」
……そんな兄様は置いておいて、姉様は俺に「どうかしましたか?」と聞いてきた。
ショウマを思い出したら気分が明るくなる……なんて言えるわけない!
「べ、別に……何でも、ない。」
ショウマのことを思い出して、少し熱くなった顔を隠すように顔を背ける。
「そうですか。……おかしいですね、私には恋してるように見えたのだけれど……。」
恋……?
「ははは、こいつがか?ありえねえ!」
隣で兄様が笑っている。少し腹が立つが放っておく。
「だって……さっきのあなたの目は、どう見ても恋をしている相手を思い浮かべている目でしたもの。」
それを言われて、ドクンッと胸が大きく波打つ。
恋……してる?俺が、ショウマを……好…
ふと、ショウマの顔を思い出してみる。
「……レイン。」
「お前、まさか……マジで……っ」
ショウマの顔を思い浮かべて、あの二文字の言葉を言おうとすると心臓の鼓動がはやくなって、苦しくなる。そして、顔も身体も熱くなる。
どうしよう……俺、ショウマが……好……っ
「レイン。」
名前を呼ばれて、顔を上げると、いつの間にか席から移動していたのか、何故か悲しそうな顔をした姉様が立っていた。
「ねえ、さま……。」
頬に手を添えられ、俺より少し背の高い姉様が、俺に目線を合わせる。
「レイン、相手は誰?」
気づけば、声に出していた。
「ショウマ……ッぁ」
「「レイン……!」」
兄様も姉様も驚いていた。兄様は席から立ち上がって俺に寄ってくる。
なぜなら、俺が急に胸を抑えて苦しみ出したからだろう。
「はっ……はぁぁ……!」
苦しい……なにこれ……っ
「分かるわ、レイン……。」
姉様は、今にも涙を流しそうな悲しい表情をしていた。
「私も、シュートもね、恋をしたらそうやって苦しくなったわ。」
姉様も、兄様も……?
「でもね、それが叶うことはないの。叔父様に逆らうことなんて、出来ない。同じ太陽の貴族でも、能力に差がありすぎるのだから。」
え……?
それを言った姉様の顔も、聞いていた兄様の顔も、とても辛そうな顔をしていた。
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