アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
18
-
食事会が始まってから10分ほど経った頃、何故か食事の間の扉が開いた。
当然、俺達の視線はそこへ注目する。
そして、その人物の姿を見た瞬間、俺達の目は見開かれた。
「お姉様、いらっしゃったのですか……?」
母様が食事の手を止める。
「今日はお休みになると聞いていたのですが……。」
父様も食事の手を止めて立ち上がり、頭を軽く下げる。
手につばの長い帽子と花束を持った叔母様だった。叔父様と婚約している、俺達が逆らえない人間の一人だった。
「ところで、レイン。」
急に叔母様に名前を呼ばれ、俺は「はい。」と返事をする。
俺は食事の手を止めて、立ち上がり、叔母様へ近寄る。
そこで、俺は花束の中の花を見て、冷や汗を垂らした。
紫の、アネモネ……!
なんで、叔母様が持って……!
俺は表情を変えないように必死で表情を固めながら、叔母様を見上げる。
「はい、これ。」
そうして、叔母様から数本の紫のアネモネの花束を受け取る。
そして、叔母様は俺にこう耳打ちした。
「いいお友達ねぇ?」
「ーーっ!!」
俺は恐怖で震え上がった。
そして、叔母様は何も無かったかのように叔父様の隣に座る。
「どうかしたのか?」
「いいえ。ちょっと花屋に寄ってきましてね。はい、貴方様にも差し上げます。」
叔父様は、ふっと笑いをこぼす。
「紫のアネモネか……。花言葉は確か、信じて待つ、だったか。」
俺はそれを聞いて、その場から動けなくなった。
「ええ。素敵ですわ。」
「ありがとう。」
そして、しばらくしても席に戻らない俺に不満を持ったのか、叔父様が立って俺に近づいてきた。
自分と同じ真っ赤な瞳が俺の瞳を捕らえる。
身体の震えが止まらなくて、叔母様に貰った花束がカサカサと音を鳴らしている。
震えを止めようと身体を強ばらせるが、どうにもならなかった。
「何をしているんだ、はやく席に戻れ。」
そう言われると、頭からつま先まで一本の棒で貫かれたようになり、俺は逆らえなかった。
「は、い……。」
俺の足は勝手に席へ戻っていく。叔父様の目を見ることで受け取る信号のようなもので、身体を支配されたのだ。
叔父様にこの能力を使われるのは、これが初めてではなかったが、恐れを感じてしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 75