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ショウマの前で、突き放すつもりだったと、宣言する……?
ズキンと胸が痛んだ。
「……っ…」
想像しただけで涙が溢れた。
そんなこと言ったら、俺……ショウマに……嫌われてしまう……っ
俺の脳裏に、ショウマが俺を睨む顔が浮かぶ。
「ーーつ!!」
胸がズキズキと痛む。それに、『裏切ったな。』と幻聴まで聞こえてくる。
ごめん、ごめん……ショウマ、ごめんなさい……っ
涙は止まることを知らないのか、次々に頬を伝う。
「レイン、やらなければショウマが殺されるかもしれないんだぞ……。」
わかってる……わかってるけど……。
そんなことをしたら、俺は確実にショウマに嫌われるし、ショウマを傷つけてしまう……っ
胸を押さえても、押さえても、溢れる涙もズキズキとした痛みも消えてくれなかった。
「レイン。一回だけ言う、だから聞け。」
俺は姉様の腕の中から顔を出して兄様を見る。
「ショウマとやらの心を守って命を奪うか、心を傷つけて、命を守るのか。どちらかを選べ。」
っ……!!
「今のお前にはどちらかしか方法がない。」と兄様は真剣な表情を向けて言った。
どちらかしか、ない……
そう思ったら、ショウマの笑顔が脳内に浮かんでは、それを叔父様に壊されるのが見えた。
ショウマ……ショウマ……っ……
俺はショウマと過ごした時間を思い浮かべる。
ショウマと初めて会った、あの場所。そして、初めて他人とまともに話せて、初めて心から笑った。
そして、俺の大切な人。この世でたった一人、俺が恋に落ちた、かけがえのない人。
今思えば、出会った瞬間に恋に落ちていたのかもしれない。
出会ってまだ少しの時間しか経っていないのに、もう何年もあっている気がするのは、あの時間が充実していたからだろう。
俺の大事な人、ショウマの命を奪うくらいなら、俺と離れて、助かるのなら……。
俺は、覚悟を決めた。
「っ、」
兄様に向き直る。涙を拭って、兄様の目をしっかり見た。
「……決まったな。」
俺は深く頷いた。
そして、心の中で呟いた。
“俺が、守るよ。だから安心して、ショウマ。幸せに、なって。”
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