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気づけば、俺の少し前にショウマがいた。
『レイン……。』
俺はショウマの姿を見て、ショウマの声を聞いて、その声が俺の名前を呼んでいると分かった途端に、心の底から嬉しくなって涙が溢れてくる。
そして、気持ちが溢れ出して、たまらなくなって名前を呼ぶ。
『ショウマ!』
名前を呼んだ瞬間に、俺はその場から走り出した。
ーーそして、俺はショウマの目の前まで行ったときに、溢れ出したこのショウマに対する特別な気持ちを吐き出そうと口を開きかけた。
でも。
「……。」
え……っ
身体が震えた。
なぜなら、ショウマが冷たい目で俺を見ていたから。
『この、裏切り者。』
『ーーっ』
胸を思い切り割かれたような痛みが走った。
俺は耐えられなくて、気づけば目を閉じて縋るように名前を呼んでいた。
「ショウマ……っ」
次に目を開けると、そこには場面が変わったように、困惑したようなショウマの顔が目の前にあった。
いつもの……いつものショウマだ……っ
「レイン……?」
心配しているように俺を覗き込んで、優しい声色で俺の名前を呼んでくれている。
「ど、どうしたんだ……?」
心の底から、安心した。ショウマの優しい声を聞くと、自分がこれからしようとしていることがどれほど残酷なことなのかを思い知って、罪悪感に押しつぶされそうになる。
でも、やらなければ……叔父様にっ……
ツーっと頬を何が伝うのを感じた。
「ご、め……ふっ……ごめん、なさい……っ」
許して欲しい。俺がすることを、どうか。
俺は、ショウマを裏切ってしまう。でも、裏切らなければショウマが、叔父様に消されてしまう。
俺は、こんなにも人を大切に思ったことなんて、これまで一度もない。初めて、心の底から特別な存在だと思った。
この気持ちの名前を、口にして伝えてしまいたい。でも、それは許されない。
たった二文字。それを伝えてしまえば、俺がショウマを苦しめる。確実に、そうなってしまう。だからーー言わない。
いつの間にか、ショウマは俺の頭を撫でてくれていた。ショウマの手が触れたところが熱を持って、心臓もドキドキと高鳴った。
っーー
俺はショウマへの気持ちや、悲しい気持ちがごっちゃになって、それをぶつけるように、ショウマの服をギュッと強く握った。
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