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幸せ……。
「……。」
言われて気がついた。
これが、幸せというものなんだと。
「レイン?」
俺は、母様の目を見て、微笑んだ。
「いいえ。本当に、何でもありません。」
母様は目を見開いて驚いていた。
そして、次の瞬間には、神々しく輝く微笑みを浮かべた母様が目の前にいた。
「……そうですか…。」
それだけ言うと、母様はそれ以上俺には話しかけなかった。
それから、ガチャッとまた扉が開き、今度は叔父様や叔母様が入ってくる。
「っ、」
一気にこの場の空気が重くなって、ここにいたくなくなる。
コツコツと叔母様の履くヒールのある靴の音が、歩く度にこの空間に響く。
俺には、それが悪魔の足音のように聞こえた。
そしてその足音が止まり、いつもの席へ着席した。
「ごきげんよう、皆さん。」
叔母様が挨拶したあと、叔父様は全員いることを確認する。
「……揃っているな。」
低いトーンだった。冷たい声色の、その言葉が発せられた瞬間、この場の空気が変わったのを、俺は見逃さなかった。
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