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「おー、遅かったな。」
みんなが集まるこの天井の高い広間に着くまで、俺はずっとヴァルド様にどうやって俺のことを諦めてくれるのかを考えていた。
「ねぇ聞いて下さって?今日ここに来る前に猫ちゃんを見たのですよ♡」
「そうですか。それはそれは……」
いくつもの何でもない会話がされている中、俺とヴァルド様に近づく二つの足跡を聞いた。
その人物達に目を向けると、身体が震え上がる。
「レイン様。もう、うちのヴァルドと仲良くなっているようで。」
「それは当然のことだろう。なあ、レイン。」
「はい。」
……早く、どこかへ行きたい。ここでないどこかへ……
「ヴァルド様に失礼のないようにしろ。いくら太陽の貴族の方が地位が上だとしても、そんな貴族らしからぬことをするなよ。」
声を聞くだけで、見えない圧力がかかったみたいに身体が重くなる。
「でも、本当に良かったのか?ヴァルドは男だぞ?別にルヴィアでも……」
ルヴィア、とはヴァルド様の妹だ。
「いや、ヴァルドは第一王子だ。レインは俺の甥だからな、ちょうどいいだろう。それに……」
チラッと俺を横目で見て、叔父様はふっと笑った。
「今は男同士でも子供は作れるんだ、問題はないだろう?それにこんな綺麗な顔をしたやつからは、どんなに綺麗な子供が生まれるのか見ものだしな。」
そんな、理由で……。
「申し訳ございません、少し口を挟ませてもらってもよろしいですか。」
急に、ヴァルド様がそう言ったため、俺は驚いてバッとヴァルド様を見る。
「いいだろう。なんだ?」
ジーク様が許可を出した途端、ヴァルド様は俺を横目でチラリと見てからまた視線をジーク様へと戻す。
え……今の、何……?
「レイン様との婚約は、本当に取り消せないのでしょうか。」
な、何言ってるんだ!?そんなことを言ったら、叔父様達がっ……
そして、案の定それを聞いた瞬間に叔父様とジーク様が顔を歪めた。
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