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レインがあの場所に来なくなって数日。俺は未だに通い続けていた。
今日もまた、その道を歩く。
今日も、いない……のか……?
半分諦め、半分期待していた。いないのかも、ではなく、いるかもしれない、と思うことにした。そうすれば、少しは心が楽になる気がしたから。
マジで病気じゃない……よな?
レインに何かあった、とだけ分かった。理由なく習慣化してきたものをやめるだろうか。俺だったら、それはありえないからだ。
だから、病気だとか事故だとか、嫌な方向にばかり考えてしまう。
「会いたい……」
ポロッと心の声が漏れた。すると、その瞬間に見慣れた緑の草が前方に見えた。
「……。」
ドキドキと心臓が鳴っているのを感じながら、前方に見えるその場所に向かった。そして、幾分か進んだ時、俺の心臓がドクンと大きく波打った。
えっ……
幻でも見てるんじゃないかと、自分の目を疑った。なぜなら、そこには今一番会いたい人物がそこに立っていたからだった。
レイン……!!
俺は音もなく静かにぎゅっと背後から抱き締めた。
その瞬間、ビクッとレインの肩が跳ね上がる。その後にはレインの身体が震えているのに気づいた。
驚かせ過ぎた……か?
そう思って離れようとするが、それは躊躇われた。理由は、ここで離れてしまったら、レインにもう会えなくなる気がしたからだった。
もう、離したくない……っ
強く、強く、そう思った。だから俺は、レインを抱き締め、肩に頭を埋めた。
「……会いたかったっ…」
ポロリと零れた本音。それに反応して、レインの身体……肩の震えがいっそう強まった。その時、俺はレインが涙を流していることに気がついた。
「……っ、俺も……会いたかった……ショウマっ…」
小さな、絞り出したような声だった。そして、それと同時にレインの手が俺の手に重ねられる。
ドキッと胸が高鳴る。俺の心臓の音は、絶対に聞こえているだろう。しかし、それでも構わなかった。
もう離さない……!
そう心に決める。
「なんで、今まで来なかったのか、聞いてもいいか……?」
ずっと疑問に思っていたことを聞いてみる。
「……今まで……部屋に、閉じ込められてた、から……」
部屋に、閉じ込められてた……そうか……病気じゃ、ないんだな……。
「そうだったのか……」
ホッと息を吐いた。力が抜けて、多少レインに乗りかかる形になっていたが、俺はレインが病気ではなかったことに非常に安心していた。
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