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待ちに待った今日。俺はレインの家に呼ばれている。少し変だとは思っているけど、レインが呼んでくれたのだ、信じるしかあるまい。
「ショウマ。」
声がして、俺は振り返った。
「レイン!」
レインの表情が目に入った。それは、何か苦しそうに見えて、俺はレインの頬に手を添わせる。
レインは俺の手に自分の手を重ねて、こう言った。
「俺……大丈夫、だから。」
「……そうか。」
俺は、深くは聞かなかった。ただ、今日は何かがあるということだけ、ハッキリとわかった。
今日は、俺を呼んだのは、喜ばしくないことというわけか。
そんな風に思っていると、レインが懐からある花を出した。
あれ……それは……。
「ショウマ……。この花、受け取ってほしい。」
そう言ってレインが渡してきた花は、あの時、俺が気になった花だった。
「レイン……この花……。名前、知ってるか?俺、この花知らなくて……。」
正直に言った。でも、すぐにそれを後悔した。
え……っ
レインは、今にも泣きそうな表情でこっちを見ていたから。そして、レインは一言こう言った。
「ごめん……。」
俺の顔を見ていなかった。そして、そのすぐあと、レインの少し後方に人影が現れた。
「ショウマ様、ですね。」
その喋り方で太陽の貴族の使用人なんだろうとわかる。
「はい、そうですけど……。」
「では、私に着いてきて下さい。……レイン様はすぐに帰還せよとのご命令が出ています。」
「……はい。」
レインは俺に背を向けて、先に戻った。俺は、手元にある花を、懐にしまった。
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