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信じられなくて、俺は外に出されてからしばらくそこから動けなかった。
ポタリと雫が道端に落ちた。
「っ……」
気づいたら、涙が溢れていた。
今まで……レインは……俺で、遊んでたってことなのか……っ
あの目。あの言葉。全てが俺の心にグサリと突き刺さった。
止めようとしても止められない、拭っても拭っても止まらない、涙。
「うっ……うああぁ……っ!」
声も、抑えることが出来なかった。
そこが、太陽の貴族の家の前だということも忘れて、俺はそこに膝をついて泣いた。それも、子供のように。
レインの行ったことが未だに信じられない。いや、信じたくなかった。
レインと過ごしたあの時間。少なくともあの時間だけは本物だと思いたい。レインは本当に心の底から笑っていたし、泣くところも見た。あれはどう見ても演技とかじゃなかった。そして、俺とレインの気持ちも、あの時嘘はなかった。
自惚れているわけではないけど、レインも俺も、多分同じ気持ちだった。俺は今もそうだ。
あの時、あの時間だけは……っ
本物だった。なのに……
「どうしてっ……!!」
ーーーー裏切られた……
そうとしか思えなかった。
あの時の気持ちは本物だと信じたかった。少なくとも嘘はなかったはずだ。でも、レインがそれを遊びだと。ただの遊びだと言うなら、俺はレインの遊びに付き合わされていたということになる。
「くっ……うぅ……っ!」
怒りが湧き上がる。でも、悲しみの方が大きかった。何より、レインのことを大切に思っていたから。
「くっ……!」
俺は拳を地面に叩きつける。少しだけ皮膚が擦れて血が滲んだ。
その時、今日の朝貰った花が地面に落ちる。
「……。」
俺はその花を…………拾わなかった。
そして、俺は立ち上がってそのまま家に走って帰った。後ろを一度も振り返ることもなく……。
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