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「今、なんつった……」
手に汗が滲む。嫌な汗が全身の毛穴から吹き出した。
「火星の貴族の第一王子ヴァルド様と婚約している最中っていってるのよ。昨日は婚約する前の儀式を行って、今日……婚約するのよ。詳しいことはまだ知らないけど、もう始まって……」
「黙れよ!!」
俺は初めてユミさんにこんな大声をあげ、怒鳴った。
婚約……?それも今日だと……ふざけんなよ!!
「ユミさん……俺、今からユミさん達に迷惑かける……。」
自分でも驚くほどその声は低かった。
それに対して、ユミさんはため息をついて口端をあげた。
「そんなのもう慣れっこよ、このハチャメチャ坊主。」
俺は、それを聞くと既にユミさんの横を通り過ぎると同時に花を奪っていた。
***
「はぁ、はぁ……」
俺は店を飛び出して走っていた。飛び出すときにダグラスさんがもの凄い血相で怒っていた気もするけど、そんなの今の俺にはちっとも怖くなんてなかった。
ただただ自分に腹が立って仕方がなくて、それを発散させるように全力で走っていた。
腹が立つ。自分が情けなくて仕方がない。レインはずっと俺を守ってくれていた。それなのに俺はレインを苦しめてる太陽の貴族の規則を知ろうともしないで、ただ守られていた。そんな自分が、一番ムカつく。
俺がこんなだから、俺は他の男にレインを取られるんだっ……でも、それはさせない。それだけは絶対に譲れない。
太陽の貴族?ハッ、んなのクソ喰らえだ!今度は俺がお前を守る!待っててくれ、レイン。
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