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ヴァルド、様……。
「俺が……みっともない、だと……?」
叔父様は鋭い目付きでヴァルド様を睨む。それにはヴァルド様も一瞬怯んでしまうが、言葉をなんとか繋げる。
「あ、ああ……そうだ!あんたは今すっごくみっともねえよ!現実を受け入れられない子供みたいにギャーギャー言って、周りのことを振り回してる!」
叔父様は黙ったまま、ヴァルド様を睨み続ける。
「……その辺にしておいてくれ。」
急に声が響き渡った。その声は、なんと火星の貴族の長、ジーク様だった。
「お、やじ……。」
訳が分からなくて、その場にいた全員がジーク様に注目した。
それは、叔父様もだった。
「貴様……なんのつもり……」
「強がるな。」
叔父様の言葉を遮って、ジーク様は一歩足を前へ進めた。
ズンズンと迫り来るジーク様に怯えた様子で、叔父様は身を引いていた。こんな叔父様を見るのは初めてで、俺は驚いていた。
「逃げるなよ。」
パシッと叔父様の腕を掴む。
「……。」
叔父様は何も言わずに下を向いていた。そんな叔父様を見て微笑んだ後、ジーク様は俺とヴァルド様に向き直った。
何を言われるのか、わからない。だからこそ、その場に緊張が走った。ジーク様の口が開きかけた時、俺とヴァルド様は思わず生唾を飲み込んだ。
「こいつは……ハルジは、知っての通り、過去に捨てられたというのがある。こいつが一般人を嫌うようになった理由も確かにそうだ。」
その次の瞬間、ジーク様が叔父様の手をぎゅっと握りしめるのが見えた。
「だがな、それは致し方ないことだったんだよ
木星区で受けた屈辱は本当に酷いものだったんだよ。あそこは治安が悪いどころじゃなかったんだ。」
顔を歪めながらそう言うジーク様は、叔父様より、いや、誰よりもその木星区の人間を恨んでいるように見えた。
「こんなことが起きたのはハルジだけが悪いって訳じゃない。頼む、許してやってくれ……。」
頭を下げていた。それは、俺や姉様達だけではなく、ヴァルド様や階段の途中で固まっている貴族達にも向けられていた。
「ジーク……お前は……っ……いや、なんでもない……。」
叔父様は、そこで初めて正気に戻ったように見えた。
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