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血は水よりも濃い
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「ついたよ」
陸さんがそう言い車のドアを開ける。
そこにはバカでかい庭園とバカでかい家があった。
こんなでかい家知ってるわけないけど
なんだか来たことあるような· · ·
そんなわけないか· · ·そう思いながら家の方を見つめた。
「どうしたの?」
「あっ!なんでもないです」
「そう· · ·心の準備はいい?」
「はい」
「よし、行こうか」
そう言われとても広い庭をぬけようやく玄関に辿り着いた。
「おかえりなさい」
スーツを着たおじさんが迎えに来た
多分執事だろうか· · ·。
「ただいま、父さんは?」
「リビングにいらっしゃいます」
「そっか、ありがとう。一輝君おいで」
そう言い陸さんは僕の手を掴んだ
「· · ·はい」
長い廊下を歩いてリビングについた。
心臓の音がうるさい。緊張とイライラで
固まっていた。
「大丈夫?」
陸さんの声でハッとした
「· · ·はい」
陸さんはニコッと微笑むと「入るよ」と言いドアを開けた。
ガチャ
「父さん、連れてきました。」
「· · ·よく来てくれた。」
そう言ってこちらを見るおじさんがいた。
この人が父親なのか· · ·。
車椅子に座っていて、酸素チューブをつけていた。
病気なのか?歳なのか?
「座りなさい。」
「はい、一輝君おいで」
陸さんの隣に座って向かいにいる父を睨んだ
「久しぶりだな。睨まれて仕方ない。まず最初に言わせてくれ、申し訳なかった。」
今更謝るなよ· · ·っ。
黙りこんで目をそらした。
「大体の事は陸から聞いてるだろう。私の父も妻もいなくなってやっとお前を迎えることができる。遅くなってすまない。単刀直入に言う、よかったらうちで暮らさないか?うちって言ってもここではなくて、私が所有するマンションで陸達が住んでいる家だ。もちろんここでもいいがお前が私の顔を見るのは嫌だろう。そこで住みながら落ち着いたら、私の会社で働きながら仕事を覚えたのち副社長をして欲しいと思っている。せめてものお詫びだ。こんな形で申し訳ない。」
父に長々と話しかけられた。とっさに俺は叫んでいた。
「ふざけんなっ!今まで散々ほっておいてお詫び?高校の金もそうだし、母親の遺産のふりして金払って、挙句の果てにそれが詫びの仕方かよ!そんな事しても母親は帰ってこないんだぞ!葬式も来たのに顔見に来る度胸ないくせにふざけんのも大概にしろ!じゃあ何であいつが生きてる時に何もしてやんなかったんだよ!あいつが苦労して亡くなったのはお前のせいだろ!」
怒鳴り叫んでしまって、陸さんもびっくりした顔でこっちを見ていた。
「本当にすまなかった。あいつにお金だけでもせめて送ってやりたかったが、あいつにいらないと言われたんだ。亡くなったと聞いて全てに後悔した。葬式は行ったがあいつの姉に帰れと言われたんだ。こんな形でしかお詫びができなくて本当にすまない。」
父が泣きながら掠れた声で言った· · ·。
そんなふうに言われると何も言えねぇだろ。
「そんな事言われても同情するつもりないからな。」
「わかっている。私も見ての通りもう先は長くない。会社ももうすぐ陸に継がせるんだ。そこで副社長があいていて是非息子になって欲しいんだ。たのむ。」
「俺はお前の息子だと思ったことない。それにもう一人いるんだろ?」
さっき車で陸さんが弟と住んでいると言っていたから、弟もいるとわかっていた。
すると陸さんがこちらを見て話をした。
「弟は外科医をしていて、そこそこの地位があるし継ぐ気がないんだ。」
俺はそれを聞いて何も返事をしなかった。
「すぐにとは言わない。考えてくれ。お前も就職もしてないんだろ?」
父に親らしい心配をされて、少しイラッとした。
「うるせぇ· · ·余計なお世話だ。」
「また考えたら陸にでも連絡してくれ。」
そう父が言うと陸さんは俺の手を取り
「行こうか· · ·。失礼します。」
と言って立ち上がった。
スタスタと部屋を出て歩く陸さんの後ろをついて行き、陸さんは駐車場に着くと車の助手席のドアを開けた。
「家まで送るよ。」
「はい· · ·」
そう言われ助手席に乗るとドアを閉め、自分も運転席へ乗った。
なかなか出発しないな· · ·どうしたんだろうと顔を見ると
「よかったらさっき父が言ってたマンション見てみる?」
そう笑いながら言ってこっちを向いた。
「え?」
「僕と弟が住んでるって言ってたマンション!見てみたら気持ちも変わるかも知れないし考えやすいし!」
正直ちょっと興味はある。
このままではダメだと思っていたし、成人式の日に改めて働かないとと思った。
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